鉄鋼業界、エコカー対応を本格化、鋼製車体の軽量化追求

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 鉄鋼業界が次世代環境対応車においても、鋼材が主力構造用材料の地位を維持する取り組みに動き出した。世界鉄鋼協会が推進する次世代鋼製車体プログラム(FSV)において、オールアルミ製車両と同等の軽量車体を目指す開発をスタートした。その背景には駆動システムの転換が自動車づくりの概念を大きく変える可能性を秘めているため、「特性およびコストで主要材料として使われてきた鋼材も決して安泰ではない」(業界関係者)との危機感がある。FSVでは日ごろから競争関係にある鉄鋼各社が最新の技術・アイデアを出し合い、鋼製車体の可能性を追求する。

 世界の主要鉄鋼メーカー16社が参加するFSVでは、08年から1年かけて外部の技術者を含む専門チームにより2015?20年に量産化(年間10万台規模)が予想される次世代環境車の車体に関する技術的な検討を行っている。
 そのなかで注目すべきは、駆動形式別の製造コストに関する試算結果。それによると、既存のガソリン車に対してハイブリッド車が1・2倍、プラグインハイブリッド車が1・4倍、EVが2倍になるとみており、EVはコストの50%をバッテリーが占める。EVでは、同じ航続距離でも車体軽量化により搭載するバッテリー容量(重量)を低減してトータルコストを抑えることが可能であり、「素材レベルのコスト差を覆すインパクトがある」(同)。
 また、二酸化炭素(CO2)排出量も走行時(使用時)の排出が大半を占めるガソリン車に対して、EVや燃料電池車では原料採掘から加工・組み立ての製造プロセスおよび廃車処分後の排出が問題となる。
 FSVでは、このフェーズ1における検討結果から、次世代鋼製車体の基本仕様として4車種(表)を決定。EVは三菱自動車の「i MiEV」を、プラグインハイブリッドはGMの「シボレー ボルト」、燃料電池車は本田技研工業の「FCX クラリティ」をベースに仕様を検討。また、航続距離250キロメートル以上のEVは現在のバッテリー性能から「20年までには量産化は難しい」(同)として開発対象から外した。
 開発は材料および加工技術の両面からアプローチする計画。材料は鋼板および薄肉の鋼管に対象を絞り、すでに量産化されている材料や1500メガパスカル級高張力鋼板などの新規開発品など11鋼種を新たに加える。加工技術では溶接や成形など既存技術の高度化やテーラード・ブランクを発展させたテーラー・ロールド・ブランクといった「アイデアレベルの技術についても開発に取り組む」考え。また、原料採掘から車両寿命までのCO2総排出量を勘案したトータルライフサイクルアセスメント(LCA)コンセプトデザインを指向することで、より環境に配慮した車体開発を推進する。
 フェーズ2では「(進め方について)いろいろな意見がある」(同)ため具体的な数値目標を設定するにいたってない面もある。しかし、すでに自動車メーカー各社は次世代車体の開発に着手しており、「3年後では遅すぎる」(同)として10年末までに開発を完了させる予定。

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このページは、web staffが2009年9月29日 21:28に書いたブログ記事です。

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