日本精工、磁気エンコーダを樹脂化、高機能・高耐久性実現

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 近年、自動車の走行安定性向上を目的に各種車両運動制御システムの普及が進んでいる。これらシステムは、ハブユニットに取り付けられた磁気エンコーダで車輪速を検知することで実現されており、採用の広がりとともに磁気エンコーダの特性向上が求められている。日本精工では、素材をゴムから樹脂に転換することで高磁力化と優れた耐久性を実現した磁気エンコーダを開発。同製品は「高分解能センシングや軸受けのダウンサイジング化などが可能」(自動車軸受技術センター 宮崎裕也シャシ軸受技術部長)であり、システムの普及促進をサポートする。

 アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、トラクション・コントロール・システム(TCS)、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)。これら車両運動制御システムは事故を未然に防ぐアクティブ・セイフティー(予防安全)技術として近年急速に採用が拡大しており「すでにABSが新車の約9割に装着されている」(同)ほか、TCSやESC装着率も急速に増加している。
 これらシステムには車輪速のセンシングが不可欠であり、それを担うのがハブユニット軸受けに取り付けられている磁気エンコーダ。システムの高度化や使用環境が苛酷なBRICsなどでの普及により、磁気エンコーダに対してセンシング精度や耐久性の向上が求められている。
 日本精工が開発したプラスチック磁気エンコーダは、従来のゴム製に比べて磁気特性を大幅に向上したのが特徴。「耐熱性に優れ、柔軟性に富むナイロン樹脂を新たに開発」(同)するとともに、磁場中での射出成形により質量比で90%を占めるフェライトを規則的に配列し、磁力を従来に比べて25%アップした。ゴム磁石でも同様の手法で磁力アップは可能だが、そのためには「素材のニトリルゴムを水添加ニトリルゴムへ転換し、2次加硫をする必要がある」(同)ためコスト的にあわない。
 磁力アップにより同等磁力で10%の高分解能化や15%の検出径の小径化によるコンパクト化、エアギャップ拡大による車輪速センサーの取り付け精度緩和が可能。それぞれにトレードオフの関係にあり、車両設計にあわせて特性向上を活用できる。
 また、耐熱衝撃性に優れるのもプラスチック磁石エンコーダの特徴。同社による熱サイクル試験では、ゴム磁石が600サイクルでクラックが発生したのに対し、プラスチック磁石は1000サイクルでも形状の変化が認められなかった。
 ユニットハブへの装着については「新たに接着剤を開発する」(同)ことで、強固な接着力を経時変化せずに長期間維持できる接着を可能とした。塩水浸漬・磁石剥ぎ取り試験では、ゴム磁石が120時間で金属表面が露出したのに対してプラスチック磁石は300時間でも露出がなく、2・5倍以上の接着性を確認している。
 同磁気エンコーダを採用したハブユニット軸受けは、すでに昨年発売されたアウディA4に搭載されている。同社では、車両運動制御システムの普及拡大を背景に他の自動車メーカーへも採用を働きかけていく考えだ。

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このページは、web staffが2009年7月21日 17:17に書いたブログ記事です。

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