今年に入りハイブリッドカーが急速に普及拡大するなか、ガソリン車やディーゼル車においても燃費向上を目的とした軽量化ニーズが一段と高まっている。こうした市場ニーズに対応し、BASFでは金属代替を狙いに耐熱安定性や流動性に優れたポリアミド(PA)の用途拡大を推進中。高度なCAE(コンピューター支援によるエンジニアリング)を含むソリューションの提供を通じて、軽量化やダウンサイジングを実現する自動車部品の樹脂化を後押しする。
低価格ハイブリッド車が好調に販売を伸ばす一方、電気自動車の生産計画が相次いで発表されるなど今年に入りエコカーの存在がクローズアップされている。しかし、当面はガソリンエンジンやディーゼルエンジンが駆動システムとして主流として残るのは確実。20年の駆動システム別の市場シェアでもガソリンエンジンが75%、ディーゼルエンジンが17%と両システム合わせて9割以上を占めると予想されており、これら既存システムを搭載した自動車の低燃費化の取り組みは今後も不可欠。
CO2排出量低減(低燃費化)に関する技術的アプローチのうち、樹脂化で可能なのが車両重量の低減とダウンサイジング。それぞれ1?7%、8?12%と低減効果があると試算されている。すでに乗用車1台当たりに使用されている樹脂の重量は87年の70キログラム強から06年には160キログラム弱へと2倍強に拡大。パワートレイン関連ではシリンダーヘッドカバーやエアーインテークマニホールドなどの樹脂化により2・6キログラム(約30%)の軽量化が進められており、こうした取り組みをさらに拡大することが必要だ。
こうした状況のなか、BASFでは熱特性に優れたグレード開発によりエンジン周りの金属部品の樹脂化を積極化させている。高耐熱老化性ポリアミド「A3W2G10 black 20560」(PA66)は190度Cの環境下における機械特性においてPA46やPPAを凌ぐ熱老化特性および耐熱安定性を実現。成形加工性や成形外観の面でも優れた特性を有しており、ターボディーゼルエンジン用インタークーラーのエンドキャップで採用実績がある。さらに耐熱安定性に優れたA3W2G6 black 20560(PA66/6)も開発しており、同用途での適用拡大を図っていく考えだ。
また、高流動性PA66(ウルトラミッド ハイ スピード)のサンプルワークを日本でも開始。同製品は標準品に対してスパイラルフローで6?7割向上するとともに熱安定性を高めており、部品製造における生産性向上の面からのアプローチも強化している。インタークーラーのエンドキャップやシリンダーカバーなどでの採用を見込んでいる。
樹脂化に際して強みとなるのが同社独自の高度なCAE。同社では材料特性や成形条件、ガラス配向といった流動解析のデータを3次元の構造解析や衝撃解析、動的解析への応用を可能とするソフトを独自に開発しており、樹脂製品内のガラス配向と衝突解析により機械的挙動の違いを考慮した最適設計などが可能。
素材とともにこうしたソリューションの提供を通じ、これまでの樹脂化により30%の軽量化を実現したトルクロッドの開発をサポートするとともに、ロアー・バンパー・スティフナーでは顧客ニーズをもとに40%の軽量化を実現した。樹脂製シートパンは樹脂設計提案を含めた技術サポートによりシートの25%軽量化と22の金属部品の組み付け工程を1ショットの射出成形に置き換える生産効率化を可能とした。
車両1台当たりの樹脂使用量を日欧で比較すると欧州車に比べて日本車の樹脂部品の採用比率は低く樹脂化の余地は大きい。同社では一連の取り組みにより日本車における樹脂部品の採用拡大、車両軽量化および低燃費化をサポートしていく。

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