ニッパツは自動車用ばねのさらなる軽量化を推進する。近年高まる車体軽量化ニーズを背景に、10年春を目標に中空コイルばねの量産技術の確立に取り組んでいるもの。車体を支持する懸架ばねに適用すれば自動車1台当たり2?4キログラムの軽量化が可能となる。「ばねの中空化そのものは昔からあるアイデア。トップメーカーとして他社に先駆けて実用化する」(ばね生産本部 浜野俊雄副本部長)考えだ。同社では、ばね製品の高機能化を積極的に推進することで他社との差別化を図る。
同社は、懸架ばね製品およびエンジンやパワートレイン向けの精密ばね製品を軸に自動車分野でばね事業を展開している。主要製品の市場占有率をみると懸架ばねでは板ばねおよびコイルばねで40%、スタビライザーとトーションバーでは60%と高い国内シェアを有するとともに、精密ばねでも国内シェア35%、世界シェア20%(同社推定)を確保している。
高シェアの背景にあるのが、独立系メーカーでありながらユーザーの製品開発に初期設計段階から参加する技術力の高さだ。エンジン用のバルブスプリングを例に同社の取り組みをみると、25年前のピアノ線を使用した製品のセット高さ・質量を100とした場合、ハイテン材の使用により15年前に78?64%へ、7年前には超ハイテン材により66?47%と小型軽量化を図ってきた。
これまでの軽量化の取り組みは主に「成分調整により応力を上げる」(同)ことで材料を軽量化してきた。しかし、近年のハイブリッド車やEVの開発・普及を背景にさらなる軽量性を実現するためには、既存の鉄系材料における従来のアプローチではもはや限界。レーシングカーなどに採用されているチタンに置き換えれば20%程度の軽量化が可能だが、「量産車に対してはコスト的に成立しない」(同)という課題がある。
荷重を素材の表面応力で受け止めるばね製品は、理論的に構造を中空化しても問題はない。逆に内面の応力が高まることでより高性能な製品の開発が可能となる。すでに同社ではスタビライザーにおいて中空製品を実用化しており、軽量化とともに走行性と乗り心地を両立した製品を供給している。また、コイルばねについても中空製品の製造技術を確立しており、材料置換をせずに20?30%の軽量化を実現している。
量産化の最大の課題は、材料となる小径肉厚鋼管の低コスト化。実用化されている鋼管の製造法は、大別して平板を溶接して製造する電縫管と、ビレットに金具を押し当てて穴を開けるシームレス管の2つ。中空コイルばねに使用するためには「外径12?13ミリ、内径6ミリの肉厚パイプとすることが必要」(同)であり、車両の安全性を保証する高品質と低コスト化をいかに両立させるかにかかっている。現在、鋼管メーカーと共同で製品開発を進めており、「来年3?4月をめどに量産試作まで開発を進め、サンプルをユーザーに評価してもらえる段階にしたい」(同)という。
同社では小型化・軽量化、高精度化、複雑形状化といったばね製品の高機能化を進めることで、自動車分野における事業規模のさらなる拡大を推進する。

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