住友電気工業は、新たに圧粉コアによる自動車用リアクトルを開発した。粉末冶金技術を応用した圧粉コアは任意の立体形状が得られるなどの利点があり、主流のケイ素鋼板を用いたコアに対して部品の小型化を容易としているのが特徴。新たに開発したリアクトルは、入力電流200アンペア、周波数100キロヘルツ、インダクタンス500マイクロヘルツの範囲での適用を可能としている。同社では、磁性部品を粉末冶金事業における注力分野と位置付けており、自動車をはじめとした各種用途で製品開発を進めていく。
粉末冶金による磁性部品は、押し固めただけの圧粉磁心と焼き固める焼結磁心の2種類。いずれも鋳造や鍛造、切削加工などに比べて複雑な三次元形状を低コストで実現できることが特徴。現在、この特徴を生かして自動車用モーターコアなどの研究開発が活発に行われており、粉末冶金における主力用途分野として期待されている。
住友電工は自動車部品を主に粉末冶金事業を展開中。住友電工焼結合金を製造子会社に岡山工場(岡山県高梁市)と伊丹工場(兵庫県伊丹市)の国内2拠点体制を構築する一方、日系メーカーの海外展開を背景に事業のグローバル化を推し進めており韓国、中国、マレーシア、タイ、米国およびドイツに生産拠点を構える。多段成形技術を応用した製品が世界で初めてモーター駆動式VCTに採用された実績を持つ。
リアクトルとは、コンバーター内に搭載され、エネルギーの蓄積・放出を交互に行い電圧を変換する部品。開発品は粉末冶金技術を応用した圧粉コアを採用したもの。三次元の磁気回路設計により全方向で磁力の一定化を図る一方、コア形状の最適化によりコイル断面に占める導体の割合(占積率)を高め、銅線の巻線量を低減している。
また、圧粉コアの採用によりコア材として一般的に使用されているケイ素鋼板と比較して高周波領域における鉄損(コア損失)を改善するとともに、断面が長方形の平角線により占積率を向上することで小型化を容易としている。
同社では、粉末冶金技術を応用した磁性部品に関してはグループ内で材料開発から製造、評価・設計にいたる一貫した開発体制を構築、今後も市場ニーズに対応した製品開発を推進していく。

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