今月1日に東邦チタニウム、中嶋産業および森村商事の3社により設立された東邦マテリアル。ディスクブレーキパッド向けチタン酸カリウムで自動車用ブレーキ市場に本格参入したもので、独自製法によるコスト競争力を強みとする。今後の展開などについて矢野恭治社長(東邦チタニウム専務執行役員)に話を聞いた。
◇
? 新会社設立の経緯を教えてください。
もともと日本ウィスカーという関連会社でチタン酸カリウムの針状結晶(ウィスカー)を製造していた。事業化したノンウィスカーの製品は、05年11月にWHOが実施したアスベスト代替素材のハザード評価でチタン酸カリウムのウィスカーがハイハザードと評価されたのをきっかけに開発したもの。自動車のブレーキ用に07年4月からサンプルワークを開始しており、新会社は事業主体を明確にするために設立した。取り組みが1?2年遅れていたら参入できなかっただろう。
? 御社の強みは何でしょうか。
工程を大幅に短縮した独自の製造法にある。既存の製法は原料を混合・焼成し、それを粉砕した後に水中で分離精製する。そのため汚水が発生するし、中和するために硫酸を使用するほか、中和後にろ過や乾燥などの工程も必要だ。当社の製法は焼成した後に粉砕して分粒するだけなので、後工程がなく設備投資を含めてコスト的に優れているのが特徴。委託製造している現状では強みを十分に発揮できていないが、一貫生産体制が整えばコスト競争力が飛躍的に高まる。
? 製品の品揃えは。
板状品とそれを顆粒状にした2種類を製品化している。板状品も高流動性を有しているが、球状の顆粒タイプはさらに流動性を高めて使い勝手を向上させた。ブレーキ性能は使い方に拠るところが大きく今後もニーズに応じた改良を進めていく。すでに米国の環境規制をクリアしており、REACHについても近く対応する予定だ。
? 採用状況についてはいかがですか。
自動車の交換部品用や産業機械用として国内の中小メーカーやアジア圏で採用されている。新車用はユーザー認定を取得するのに時間がかかり、現在は評価を受けている段階。素材の変更は原料の配合などから再設計する必要がある。ブレーキの性能面ではウィスカーにない特性も出ており徐々に切り替わっていくだろう。
? 今後の事業計画はどう考えていますか。
サンプルワークの結果によるが、3年後に新プラントを建設できればと思う。市場規模は自動車関係だけで年間6000トンあり、そのほとんどが日本で製造されている。チタン酸カリウムを採用していない欧州でもノンウィスカーなら採用される可能性があり、年7000?8000トンぐらいまで成長する余地はある。新会社のビジョンとして10年後にシェア30%を目標にやっていく。
? 社長としての抱負を一言。
東邦マテリアルは機能化学品事業本部に属する子会社として設立した。ポリオレフィン製造用触媒、ニッケル粉、高純度酸化チタン、化成品にチタン酸カリウムを加え、チタンに関連した製品群を展開していく。とくにノンウィスカーは環境に優しい製品であり、拡販を通じて環境改善に貢献していきたい。今後は他の用途へも展開していく計画であり、東邦チタニウムとしてもチタン事業の川下分野における主力事業と位置付けて育成していく。

コメントする