サカイオーベックスは、炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)の用途開拓を推進する。炭素繊維開繊糸織物と樹脂フィルムを積層し熱プレス成形で加工できるため、従来の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と比べ成形サイクルを大幅に短縮できる。またCFRPと遜色ない強度も実現しており、再加工・リサイクルも可能。マトリックス樹脂にはポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン樹脂が使える。高い生産性・加工性が求められる自動車部品用途などに展開していく。
CFRPは軽量で強度が高く耐熱性などにも優れることから近年、航空機の構造部材として積極的に活用されており、自動車分野でも軽量化・燃費向上に寄与する材料として注目が集まっている。ただマトリックス樹脂にエポキシ樹脂などの熱硬化性プラスチックを用いているため、成形に時間がかかるのが課題。量産性が自動車分野での採用拡大の阻害要因となっている。
このため加工が容易な熱可塑性プラスチックを用いたCFRTPに対するニーズが増しているが、熱可塑性プラスチックは粘度が高いため炭素繊維との界面接着性が悪いのが欠点。含浸時に空隙が入りやすいため樹脂の強度を上げることが困難だったが、同社は樹脂含浸性が良い開繊糸織物を採用することで樹脂の特性を保持しながら物理的強度を上げることに成功した。
成形および加工は、開繊糸織物とフィルムを交互に積層し熱プレス成形により行う。このため従来のCFRPでは60分以上かかっていた成形サイクルを5分程度に短縮することができ、再加工やリサイクルも容易。引張強度はPPフィルムを用いた場合834メガパスカル、PCフィルムでは827メガパスカル。耐熱性や耐摩耗性、耐水・耐薬品性、絶縁性などにも優れる。
同社では、より含浸しにくいナイロン樹脂を使ったCFRTPの開発にも成功しており、自動車用途などを軸に用途開発を進めていく。

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