自動車向け素材として高いポテンシャルを持つマグネシウム合金。日本金属は、常温プレス成形可能なマグネシウム合金薄板を事業化する。世界初の自動車向けプレス成形部品用の素材として事業化するもの。すでに高強度・高耐力・高耐食合金や展伸材として最高強度を有する合金の量産技術を開発しており、今年春をめどに量産体制を整備する計画。将来的には部品での供給も視野に入れながら、自動車メーカーに対する提案活動を本格化する。同社では、量産化によるコスト低減を見込んでおり、車体軽量化のキーマテリアルとして早期採用を目指す。
マグネシウムは、比強度・比剛性に優れた軽金属。放熱特性や電磁波特性、リサイクル性に優れており、合金化により特性をコントロールできるため、コスト面での課題を克服すればプラスチックを代替する可能性を秘めている。冷間加工がほとんど不可能なため、成形はダイカストや半溶解状態での鋳造技術であるチクソモールディング法により行われている。自動車部品では、ダイカスト品が採用されているが、衝撃破壊による破片が人体に危険を与える懸念がある。
同社は、板材に対して連続的に曲げ変形を与える処理を施すことで、結晶の底面が板厚方向に対して最大45度に傾いた集合組織を形成する組織制御技術を開発。この技術により合金元素を添加せずに、マグネシウム合金薄板の常温成形性を飛躍的に向上することに成功した。新技術を適用したAZ31B合金は、通常の圧延材と比べて室温での伸びが約2倍の伸びを示すほか、張出し成形性が3?4倍の値を有する。また、曲げ成形性も0・6ミリメートル厚板で0・1Rの金型による曲げ成形を可能としている。
今回、歩留まりやコスト面で優れる常温プレス成形用に、自動車分野において新技術適用により加工性を向上したマグネ合金薄板を事業化するもの。現在、表面処理技術を開発中で、成形加工から表面処理までのソリューション提供をしていく。
現在、ロールフォーミングにより塑性変形するマグネシウム製の自動車構造用部材として実用化する考えで、適用部品としてはドアビームや補強リブ、ストラットタワーバーなどを想定。これら部品の高張力鋼板からの置き換えによって4分の1?5分の1の軽量化が可能とみている。また、マグネ製ホイールへの適用により現在1個20万?30万円する価格を大幅に低減することができるとしている。
すでに新技術を活用して高強度・高耐力・高耐食を有するAM60およびAZ61合金や展伸材で最高強度を実現したAZ80合金などの生産技術を開発しており、今年春には量産体制を整備する計画。同社では、今後もリチウムを添加したLZ合金や耐熱性を飛躍的に向上させた合金の開発を進める方針。

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