日立粉末冶金は、電力中央研究所などと共同開発した熱電変換モジュールの用途開拓を推進する。環境意識の高まりを背景に排熱利用促進の観点から、焼成炉や電気炉といった産業設備や車載用途などへの適用を図るもの。同モジュールは、高温用(550度C以下)と低温用(160?180度C)があり、真空密閉構造により多様な雰囲気化での設置を可能としているのが特徴。同社では、潜在需要の掘り起こしにより早期採用を目指す。
国内では、推計27万2000テラカロリー/年の熱が利用されずに大気中に放出されており、この排熱を熱電発電により回収・利用すれば石油換算で約200万キロリットル節約が見込める。また、自動車に適用すれば石油約100万キロリットルの削減が可能であり、両分野のCO2削減量の合計は京都議定書で定められている日本のCO2削減量の10%におよぶと推定される。
熱電変換とは、直列につないだp型とn型の半導体に温度差を与えることで発電すること。規模の大小に関係なく効率よく発電できるほか、システムは機械部分がなくメンテナンスが不要、排熱が利用可能といった特徴を持つ。太陽電池や燃料電池と同じエネルギーの直接変換技術として研究開発が進められている。
同社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託プロジェクトとして電力中央研究所などと共同で熱電変換モジュール研究開発を実施。開発品は、スケルトン構造の熱電変換モジュールを気密ケースに封入したもの。ケース素材に厚さ0・1ミリメートルのステンレス(SUS316)を使用し、電子ビーム溶接により気密性を保持するとともに、耐熱機密性電極を採用することで設置の自由度を拡大しているのが特徴。
現在、SiGe系の高温用とBiTe系の低温用の2種類があり、SiGe系は高温側温度550度C(温度差530度C)で約7ワット、BiTe系は同150度C(同130度C)で約2・5ワットの変換効率を実現している。また、SiGe系は1400サイクルの耐久性も確認している。
同社では、熱電変換モジュールの適用先として焼成炉や電気炉(廃熱温度800度C以下)、自動車(同500度C以下)、天然ガスなどの冷却(同160度C以下)、各種プラントの排熱(同600度C以下)などを見込む。

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