ヘガネスジャパンは、焼結部品用低合金粉末の展開を加速する。市場の低コスト化ニーズに対応し、シンターハードニング用の合金粉末であるAstaloy(アスタロイ)LHおよびDistaloy(ディスタロイ)LHを発売した。新材料は、高強度を維持したまま合金成分の低減化を図るとともに焼結後の熱処理工程の省略を可能とするのが特徴。また、既存設備に対応した新製品の発売も計画している。同社では、材料およびプロセス面からユーザーのコスト削減をサポートする。
シンターハードニングとは、焼結後の冷却速度を制御することで機械的特性を向上させ、熱処理などの工程を省略することで焼結部品の製造コストを削減する焼結法。プロセスコストが大幅に削減できるほか、寸法精度へ悪影響が抑制される空冷や環境に優しいオイルフリーを採用しているため、近年欧米では大手メーカーを中心に導入が進んでいる。
新発売のアスタロイLHおよびディスタロイLHは、Mo(モリブデン)およびNi(ニッケル)を0・9%まで低減した低合金粉末。炉の雰囲気を選ぶCr(クロム)を含んでおらず、エンドガスでも焼結およびシンターハードニングが可能な新材料。同社の評価試験ではいずれも焼結密度7・15グラム/立方センチメートルで1000メガパスカル以上の引っ張り強さを維持している。すでに本国スウェーデンでは量産を行っており、国内でも08年12月からサンプル供給を開始した。
一方、日本市場向けに発売準備中のLean(リーン)ディスタロイは、熱処理を前提に低合金化による原料コストの削減を可能とするもの。シンターハードニングは毎秒1度C以上の急速冷却が必要なため採用には新たな設備投資が必要となるケースがあるが、同材料は熱処理を前提とした成分設計により既存設備に対応しているのが特徴。表面はマルテンサイト、内部がパーライトといった浸炭組織に近い構造をしており、高強度部品用材料であるディスタロイAEと同等以上の引っ張り強さを実現している。近日中にサンプル供給を開始する予定だ。
昨秋以降の景気後退により自動車生産は急激に減少。需要の9割を同産業に依存する粉末冶金業界に対しては、コスト削減要請がこれまでにも増して強まっている。同社では、新材料の積極的な投入によりこうした市場ニーズへの対応を図っていく考え。

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