自動車製造における低コスト化ニーズの高まりを背景に触媒の脱貴金属化が加速している。昨年4月に三井金属がディーゼル車向け銀系触媒を開発したのに続き、11月には日産自動車がプラチナを従来比50%低減させる新触媒を発表。そして今月8日には、マツダが貴金属の70%削減が可能な触媒を実用化したと発表した。コストダウン要求に加え、特定の貴金属に需要が集中するリスクを回避することも大きなテーマとなっており、今後さらに触媒の低貴金属化の普及拡大が見込まれる。
クルマの触媒には、排出ガスを浄化するためにプラチナやロジウム、パラジウムといった貴金属が使用されている。排出ガスに含まれる窒素酸化物やCO一酸化炭素、炭化水素を、これら貴金属の表面で化学反応させて窒素や水などに分解するためだ。英国ジョンソン・マッセイ社が11月に発表した調査報告によると、自動車向け触媒の市場規模は08年でプラチナが131・6トン、パラジウムが142・3トン。いずれも総需要量の65%近いシェアを自動車向けが占めており、世界的な排ガス規制の強化傾向を背景に今後の増加が予想されている。
日産自動車およびマツダの新型触媒は、触媒性能の劣化原因である排出ガスの高熱による貴金属粒子の凝集現象をナノテクノロジーにより抑制することで大幅な使用量削減を可能とした。日産は担持体である酸化セリウムなどのまわりに物理的な仕切りを設けることで、マツダは貴金属を5ナノメートル以下へ超微粒子化し担持体に埋め込み固定化することでそれぞれブレークスルーを果たした。いずれも使用量を削減しつつ「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(SU?LEV)」を達成可能にしている。
一方、三井金属が開発したディーゼルエンジン用触媒は、銀と金属複合酸化物との組み合わせにより高温環境下における銀の安定性向上を図ることでプラチナと銀の置換を実現したもの。PMの燃焼除去を目的としたこの触媒はDPFに塗布して使用するもので、酸素の吸放出能力がプラチナ触媒より高く低NOx条件下でも効率よくPMの低減を図れるのが特徴。銀への代替により販売価格に占める貴金属コストを90%以上削減することを可能とした。
日産は昨年11月発表の新型キューブでの採用を皮切りに国内コンパクトカーへの搭載を進めていくほか、マツダでも全市場を対象に採用を拡大させていく計画。また、三井金属もトラック・乗用車市場を視野に展開を図っていく考えだ。
ダイハツが貴金属に自己再生機能を付与することで大幅な使用量削減を実現した「スーパーインテリジェント触媒」を発表したのが05年。それから3年が経過し、相次いで新製品が発表されたことで自動車触媒における脱貴金属化の動きが本格化してきた。

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