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2016年04月22日 前へ 前へ次へ 次へ

パリ協定 化学産業にも一大転換点 「化石利用文明」から離脱迫る

<持続性推進機構 安井 至 理事長に聞く>

 昨年12月、パリで開かれたCOP21で世界の平均気温上昇を産業革命前と比べ2度C未満に抑えること、また1・5度C未満を目指すことなどが採択された。パリ協定は化学産業にとっても大きな転換点となりそうだ。持続性推進機構の安井至理事長はパリ協定が化石利用文明から化石利用離脱文明(逆産業革命)への契機になるとして、大きな方向転換が必要と語る。これまで人類の生活にとってなくてはならない存在となった化学製品だが、CO2を出さないことが価値となる時代に化学産業が目指す方向などを聞いた。

 ▽ パリ協定の意義について。

 「歴史的な転換となるだろう。パリ協定の目標達成には今世紀のどこかの時点でのCO2ゼロエミッションが不可欠である。石油由来の化石原料は減らす方向に向かう。従来のように時期を引き延ばすことで経済メリットを享受するやり方は通じなくなる。すでに石炭は当然として、石油権益への投資は減少しはじめている」

 ▽ 地中貯留のCCSの存在は。

 「実証が始まるなど注目されているが、廃棄物最終処分と同じで限界があり根本的な解決にはつながらないとみている。CO2を出さないことが価値となる」

 ▽先行者ほど厳しい時代に。

 「顕著になるのが2030年以降だが、すでに確立した価値に依存する企業にはリスクに、これからのところにはチャンスとなる」

 ▽化学産業が目指す方向は。

 「今後しばらく材料や医薬品の時代は続く。化学ができることをユーザーとの相互コミュニケーションのなかで見いだすしかない。既存の材料からの離脱法といった発想も必要になってくる。イノベーションはそこに生まれる。この分野ではまだノーベル賞を取る力を持っている。こうした人材をいかに育成するかが一番のカギだが、まずは企業経営が長期視野に立てることが大前提だろう」

 ▽CO2以外の留意点は。

 「従来同様、環境経営をしっかり実行していくべきだろう。化審法は、化合物の構造式あるいは物理化学的な性質とを定量的にあらわしたQSARとの相関性を持たせ審査をスムーズにしたり、PRTRも実態に合わせるなど、世界的な整合性を持たせていく必要があるのではないか。ただ、最近は老朽化や作業員の経験不足といったプロセス管理の不十分さが原因の事象もあり、化学物質管理とは別の安全対応面で若干懸念している」

(聞き手=野開勉)


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