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<eco 異業種にまなぶ> 松屋フーズ 省エネとコストを両立
▲ 牛の肥育に食品廃棄物のリサイクル飼料「エコフィード」を使う実証実験にも乗り出した(静岡県富士宮市)
松屋フーズは、省エネとコストの低減が両立できる新たな環境対策に乗り出す。埼玉県嵐山町にある工場で廃プラスチックから燃料油を作る装置が6月にも稼働。店舗で出る食品包装材を集めて油にし、工場の自家発電に必要な燃料の一部を賄う。食品残渣は堆肥以外に牛の餌でリサイクルする検討に入ったほか、牛脂などの廃油を活用した発電の仕組みづくりにも取り組む。外食業界では食品廃棄物の循環利用が求められている。牛丼チェーンの雄は女性や高齢者にも支持される商品の提供に主眼を置くだけでなく、環境視点でも競争力を高める。
カレーやタレ類の調理・加工と精米を行う嵐山工場(埼玉県嵐山町)に油化装置を導入する。建設はほぼ終えており、試運転などを経て6月にも稼働させる。牛めし定食店「松屋」の関東地方にある541店舗から回収した牛肉や玉ねぎなどの包装材のうち、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)で燃料油を作る。
廃プラスチックを洗浄・粉砕、さらに約400度Cの熱を加えてガス化させ、冷やして油を回収する。油は発電機に使う重油に混ぜて利用できる。廃プラを有効活用し、工場の燃料費を減らす。
計画では出力500キロワットの発電設備を2台導入。嵐山工場の契約電力は約1700キロワットといい、全量を工場の動力源に充てる。プラスチックの油化自体は目新しくないが、廃プラを安定的に集めるのは容易ではない。
松屋フーズでは、自社でトラックを走らせて回収・再利用する仕組みを生み出している。廃プラの回収量は1日当たり約4・5トン。廃プラの油化にまで踏み込む外食チェーンは極めて珍しい。
使用済みの食品包装材を巡っては産業廃棄物や事業系の一般廃棄物として処理したり、固形燃料(RPF)や再生樹脂向けに販売したりしてきた。燃料として活用することで、CO2排出量は年間で約3000トンの削減効果が期待できるとしている。
キャベツの芯や外葉、豆腐のおからといった食品廃棄物を牛の肥育に使う実証実験も本格的に始める。静岡県富士宮市にある遊休地に牛舎を建てて2015年末に1頭で始めたが、3月から計3頭に増やした。食品廃棄物のリサイクル飼料「エコフィード」で牛を育て、牛糞を堆肥化しながら食材の牛肉に使うための実現可能性を探る。
BSE(牛海綿状脳症)対策が導入されてから100%植物由来の飼料が必要なため、牛の飼料はトウモロコシなどが主流となっている。食品廃棄物から作った飼料を使い、トウモロコシなどの高い餌代を抑えて商品の付加価値向上を狙う。
現在は富士宮市の自社専用堆肥場に食品廃棄物を搬送し、微生物の働きで自然発酵させて堆肥化。肥料原料として地元の生産農家に提供している。検証を重ねて肥育頭数が増えてくれば、新産業の育成や地元の雇用創出につながる可能性もある。
ほかに、余分な牛脂を有効活用した発電も見据える。下ごしらえの際に取り除かないと味や見た目が悪くなってしまう牛脂は月に50トンほど出るという。そこで環境ベンチャーと組み、牛脂を精製・改質してエネルギー資源に再生燃料化する。当面は売電を目標に、将来は新電力(特定規模電気事業者=PPS)から松屋や新業態のとんかつ店「松乃家」の各店舗に電力を回す構想も描く。
松屋フーズの16年3月期の売上高は前期比2・2%増の828億円、営業利益は同39・8%増の30億円となる見通し。利益ある成長はもちろんのこと、きめ細かな環境保全にも目を向けて競争が激しい牛丼業界を勝ち抜く考えだ。