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2016年02月25日 前へ 前へ次へ 次へ

王子HD セルロースナノファイバー普及に挑む <上>

 ▲ CNFの研究拠点である東雲研究所(東京都江東区)

 炭素繊維の次の有力素材といわれるセルロースナノファイバー(CNF)。経済産業省は2030年にCNF関連材料の市場規模を1兆円とする目標を掲げる。こうしたなか国内製紙最大手の王子ホールディングス(HD)は、いかにCNFの品質を高めて効率良く製造できるかという難題に挑んでいる。培ってきた紙パルプの経験を磨き、他社との違いを打ち出すことで将来の競争優位性を確保する狙いだ。この難題解決こそがCNF事業を大きく育てるための分岐点とみて技術革新を推し進めている。

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 「独自の研究成果が実を結びつつある」。東京都江東区に構えるCNFの研究拠点「東雲研究所」。イノベーション推進本部紙パルプ革新センターの大渕貴之上級研究員は、紙と同じパルプ由来でありながら、さまざまな用途への利用が見込めるCNFの研究に主要メンバーの一人として携わってきた。

 他社とは違った視点を持ち込む独自の研究成果の一つに、画期的な製法がある。大渕氏らが開発した「リン酸エステル化法」と呼ぶ化学処理法だ。

 そもそもCNFは、木材成分の約5割を占めるセルロースを幅3―4ナノメートルの細さにした繊維。木質繊維を機械処理で細かく解きほぐすには、特殊な化学薬品が使われる。

 王子HDは、マイナスの電荷同士が反発し合うリン酸の性質を応用し、比較的低い機械処理の力で微細化できるようにした。この手法を用いることで「非常に透明で粘度の高いCNFの製造が可能になる」(大渕氏)。化粧品などでも使用されている安全な薬品のみを使った製造プロセスで、活用を後押しすることが期待される。

 CNF間の強い静電反発によって、製造エネルギー削減の可能性も秘める。言うまでもなく微細化するためにかかるエネルギーは、実用化への大きなハードルとなる場合が多い。

 微細化する際のエネルギーを低減するのに有効な手段である各種の化学処理法について検討に着手。最も実用化に有望と考えられる技術の確立を目指し、リン酸エステル化法に漕ぎ着けた。

 この製法を活用した実証生産設備の建設も決めた。2016年秋にも王子製紙の富岡工場(徳島県阿南市)で年産40トンの設備がいよいよ稼働を迎える。実験室レベルで作った従来のサンプル提供から、確固たる成長を実現する上での試金石となる。

 稼働を機に「CNFの利用を検討する顧客との話し合いが飛躍的に進む」と大渕氏は意気込む。「適正な価格にならないとモノは普及しない」と話すように、実証設備の導入で製造効率を高める技術を開発するための足場も整うことになる。

 実用化の一歩手前の状況にいる幅広いユーザーに対し、サンプル提供の規模も拡大。CNFを巡る王子HDの動きが一段と加速してきた。


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