ニュースヘッドライン記事詳細

2014年10月28日 前へ 前へ次へ 次へ

英国の自動車産業の衰退

 失ったもの、あるいは失いつつあるものに未練が捨てられず、一種の思考停止状態になることがある。ペット、友人、仕事、お金などの具体的な対象のほか、青春、栄光、国家の繁栄など、ノスタルジーの対象はさまざまだ▼英国放送協会(BBC)のとある自動車番組をBSで視聴している。クルマ好きの著名な政治家、映画俳優、スポーツ選手などが出演を熱望するほどの超人気番組だ▼3人の司会者は誰に媚びることなく、登場するクルマへの意見を述べる。英国人のブライドからか、とくに外国メーカーのクルマには歯に衣着せぬ辛辣な評価を下す▼その番組で、司会者が古い英国製スポーツカーに乗り、英国内をドライブする企画を見た。廃墟となった自動車工場を訪れ、自国の自動車産業の衰退を嘆くシーンが印象的だった▼それもそのはず、ロールス・ロイスやミニはBMW、ジャガーやランドローバーはインド・タタグループ、ロータスはマレーシアのプロトン、アストンマーティンは中東資本がからむ投資家グループの傘下となっている▼英国のGDPに占める製造業の割合は1割ほどで、ドイツや日本の約半分。産業革命を起こした国は、第3次産業へのシフトを先んじて体験したといえる。日本が同じ郷愁を味わうのは避けたい。否、思考を停止させてはならない。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.