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2014年10月27日 前へ 前へ次へ 次へ

Close up「強靭化を急ぐ」〜製油所の省エネ新ステージ(上)

各所で進む企業間連携

 燃料油の内需減や石油製品のマージン低迷で石油元売り各社の事業環境が急速に悪化している。屋台骨たる製油所の競争力底上げを図り、わずかでもコスト削減につなげようと各社躍起になっているのが省エネ対策だ。単独の装置改善ではもう限界がある。近隣を巻き込んだ広範な連携や事業所全体で取り組む運転改善など、製油所の省エネ対応は新たなステージを迎えている。
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*新たな視点必要*
 「雑巾は絞って絞って、もうカラカラ。装置単独の改善で費用効果の高いテーマはほぼやりつくした感がある」。出光興産の原英之製造技術部総括課長は、新しい視点をもたないと自社の省エネ対応がなかなか前へ進めないところまで来ていると語る。同社は昭和30年代から現場主体で省エネに取り組み、コスト改善を図ってきた。いまや定番となった加熱炉の熱交換器増設など、業界に先駆けて設備対応を進めてきた自負がある。
 同社が製造コスト削減のため、近隣との連携に乗り出したのは10年前。愛知製油所(愛知県知多市)に隣接し、液化天然ガス(LNG)の受入・貯蔵を行っている知多エル・エヌジーに冷水活用の連携を持ちかけた。
 知多エル・エヌジーがLNG気化時に発生させた冷水は従来、海水に放流されていたが、それを出光に引き込み精製装置の冷却に活用できないか。このスキームは石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)の事業として採択され、補助金もついた。昨年ようやく運用開始にこぎつけ、愛知製油所では設備の冷却効率向上や蒸留分離工程の性能上昇による製品回収率の増加などで年間4万キロリットルの原油処理削減量が見込まれる。「企業間連携は一朝一夕には進まないが、製油所の競争力向上に向けた大きな可能性を持っており、各所で検討していきたい。これからは事業所全体を1つのシステムとみたり、複数の装置にまたがるような1ランク上の省エネが求められてくる」(原課長)。
※知恵を出し合う※
 こうした連携は他所でも進んでいる。JX日鉱日石エネルギーと東燃ゼネラル石油は川崎地区(神奈川県)で水素の融通を進めており、JXエネルギー川崎製造所のスチームクラッカーで発生する水素を東燃ゼネラル川崎工場の脱硫工程で有効利用することで両社合わせ年間約1800トンのCO2削減につなげている。
 「大きな成功体験を得た。近隣で知恵を出し合う取り組みは今後も深まるだろう」(東燃ゼネラルの池之上俊製造技術本部Energyチームリーダー)。同社は千葉地区で子会社の極東石油工業とコスモ石油の共同事業検討を進めており、ここでも多くの省エネ機会を見いだしている。他方、JXエネルギーも水島地区(岡山県)で三菱化学や旭化成ケミカルズとともに液化石油ガス(LPG)から自家燃料用重油までの多くの留分の融通を進めている。
 企業間連携に加え、脱硫装置の統合や複数装置の一体制御など製油所を俯瞰した省エネの高度化も進んでいる。事業環境は厳しく投資金額にも限りがあるなかで、省エネを次のステージへ進める現場の知恵が、いま問われている。
(「連載「下」は日付2面に掲載)
【写真説明】出光興産・愛知製油所は知多エル・エヌジーがLNG気化時に発生させた冷水を精製装置の冷却に活用している


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