住友ベークライトは、長繊維強化熱硬化性樹脂コンパウンドの用途開発を推進する。耐衝撃性がきわめて高く3次元形状も容易なことから、金属代替素材として航空機や自動車などの機構部品に適応することが可能。炭素繊維プリプレグに比べると強度などは若干劣るが、成形性やコスト競争力が高いため欧州では航空機のエンジン部品や産業機械部品などで採用実績が出始めた。使い勝手をより良くするため現在、射出成形技術の開発にも取り組んでおり、物性やコストの面で従来素材が適応しにくかった領域で市場を創出する。
フェノール樹脂などに短繊維を配合した短繊維強化熱硬化性樹脂コンパウンドは強度や耐熱性、耐薬品性、クリープ特性などに優れた成形品が得られるため、自動車や産業機械の機構部品などに使用されている。ただ熱硬化性樹脂は耐衝撃性が弱いことが欠点。耐衝撃性が求められる領域ではプリプレグを使った複合材料が採用されているが、成形加工性やコストの面で課題が残っている。
長繊維強化熱硬化性樹脂コンパウンドは、両素材の間を埋める材料として開発したもの。強化材に長繊維を使用することで従来の短繊維強化熱硬化樹脂の10倍の耐衝撃性を実現し、強度や耐薬品性、クリープ特性も高い。圧縮成形、圧入成形で加工でき成形サイクルが3分以下と生産性が高いことも特徴で、3次元形状の付与も容易。
同社ではマトリックス樹脂としてフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂を揃え、用途に応じガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維を最適に組み合わせている。耐衝撃性に加え摺動性を持つグレードも用意した。航空機のジェットエンジン部品や内装部品、自動車のギアハウジングなどの軽量化を実現する金属代替素材として用途開拓を進めている。
すでに生産拠点「ネオプレグ」(スイス)がある欧州では航空機や車両、産業機械部品として採用が始まった。また、一層の用途拡大を図るため射出成形技術の開発も推進中。短繊維強化素材とプリプレグの中間領域をターゲットとするが、加工性を武器に炭素繊維プリプレグなどが検討されている車両構造部品などへの適応も目指していく。

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