高圧水素貯蔵用容器のライナー材として新たにクロム・モリブデン(CrMo)鋼の使用が認められた。新たに伊・ファーバー社製の同鋼製継ぎ目なしライナーを使用した炭素繊維強化樹脂(CFRP)容器が高圧ガス保安協会の個別認定を取得したもの。同容器は、熱延鋼材による超薄肉化・軽量化を実現しており、燃料電池自動車搭載用として大幅なコスト低減を達成している。同社では、認定取得を契機に水素充填設備(ステーション)などのインフラ関連も含めた本格的な事業展開に乗り出す。
圧縮天然ガス自動車の実用化で自動車燃料用途における圧縮ガス利用の安全性が認識されたことから、燃料電池自動車の多くが圧縮水素貯蔵システムを採用している」。すでに高圧水素用として金属容器および金属やプラスチック製ライナーをCFRPで被覆したものが実用化されている。高圧ガス保安協会の規格では金属製ライナーとして現在使用可能なのは、耐水素脆化特性からアルミ合金とステンレス(SUS316L)のみとなっている。
ファーバー社は、年間85万本の製品を出荷する高圧ガス容器の世界最大手。鋼製継ぎ目無しライナーを使用したFRP容器では品質の高さから全世界に出荷実績を有し、天然ガス自動車用容器でも累計15万本の出荷実績を持つ。
今回、認定を取得した水素貯蔵用容器は、耐水素脆性特性を向上させた新CrMo鋼を採用したのが特徴。同鋼材は、1万1250回超の水素の高圧充填に耐え得る特性とアルミ合金に比べて約3倍の引っ張り強度を達成しており、薄肉化によりアルミライナー製容器と同等の軽量化も実現した。コストに関しても現在主として使用されているアルミ製ライナーに対して素材ベースで50%以下の低減が見込めるほか、全自動ライナー成型ラインの導入によってコスト削減を図っている。
今回、日本自動車研究所と高圧ガス保安協会がそれぞれ定めた技術基準を高圧水素環境下において同容器が満たしていると認められたもの。今後「国内各社に協力して個別仕様に対応した製品開発を進める」(同社日本代表・平忠明氏)考えで、燃料電池自動車の低コスト化および普及拡大に貢献していく。

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