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昆虫工場の産業化へ産官連携強化を
カイコを「昆虫工場」に利用する産業化の取り組みが進んでいる。遺伝子組み換え技術を生かして有用遺伝子を導入し、医療・医薬品、化粧品、食品、工業用原料や機能性シルクを作り出す「宿主」としての価値が注目されている。世界の研究をリードする農業生物資源研究所(生物研)、日本学術会議を中心に新産業創出も提唱されている。産業界が関心を高める機会になることを期待したい。
日本の養蚕技術は世界に誇る競争力を持っている。農業の基盤があれば、最先端バイオ技術との融合によって経済活性化を牽引する切り札ともなる。その実現には、国による研究開発から産業化に至るプロセスをスムーズに移行できる強力な支援体制が求められる。
日本の養蚕は、2世紀ごろから始まったとされ、シルク産業を支えてきた長い歴史がある。しかし国内生糸生産量は大幅に減り、輸入品が幅を利かせている。一方でバイオ技術の発展によって、2000年に生物研によるトランスジェニック(TG)カイコの開発以来、養蚕業を念頭に置いた産業利用への可能性の道が開かれた。08年にはゲノムが解読され、カイコ遺伝子の有用性や外来遺伝子を効率よく発現させる方法など産業利用につながる基盤技術の開発が進んでいる。
日本でカイコの新産業への活用が見込めるのは、飼育しやすく、安全、短期間で成長、物質生産のための形質安定が可能、多品種の存在、養蚕農家によるインフラが整うことなど、条件が揃っている点が挙げられる。
昆虫工場につながる最近の開発事例には、繭や体内で目的物質を生産するTGカイコを用いるニットーボーメディカルの体外診断薬原料、大関のたん白質受託発現サービス、免疫生物学研究所(IBL)グループの化粧品原料などがある。IBLでは20年めどに、アステラス製薬と共同研究で世界初めてヒト型フィブリノゲンを医薬品原料として実用化を目指している。
蛍光・色素シルク繊維、医療材料の人工血管などの開発も進展、産業化の可能性はさらに広がる。マウスの100分の1の費用で飼育でき、薬物動態が哺乳類に似て実験動物モデルの有用性や犬より優れた匂い感知能力を生かしたTG探知カイコも順調に研究成果が出ている。
いま求められるのは産業化を加速するオールジャパンによる取り組みである。最大の生糸生産国の中国も新産業創出へ関心を高めている。優れた日本の技術などの資産を最大限に有効利用できる規制緩和、研究成果の産業移転の成り立つ橋渡しの仕組み、企業参入の環境整備を早急に構築していく必要がある。