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中小企業の人材確保を促す支援策を
急激な円安は輸出産業に多大な恩恵をもたらす一方で、幅広い製造業に輸入原材料や燃料コストの上昇を招く。先の衆院選で「アベノミクス」が信任された結果となり、これまでの政策で日本経済は不安要素を抱えながらも強さを求めて突き進むことになろう。ただ、企業には短・中期的な円安対応や景気対策に機動性が求められる一方で、永遠のテーマといえるのが人材の確保・育成だ。経営者が最も頭を抱える事項でもある。
人材が大企業へ集中しやすい傾向にあるなかで、とくに中小企業にとって人材確保は重要な経営課題に挙げられる。地方から東京への一極集中もこれに追い打ちをかけており、中小企業が多い地方にとって将来を憂う状況が続いている。首都圏にあっても人材確保を目的に、近隣県から東京へ本社を移転するケースもあるようだ。
日本政策金融公庫による2015年の中小企業景況見通しでも、人材確保に対する経営者の真剣さが明らかになった。このなかで、経営上の不安要素として「国内の消費低迷、販売不振」や「原材料価格、燃料コストの高騰」に次いで「人材の不足、育成難」が挙げられ、その割合は年々拡大している。
さらに、経営基盤強化に向けて15年に注力する分野としても「人材の確保・育成」の割合が拡大している。調査では「営業・販売力の強化」「販売価格引き上げ、コストダウン」「財務体質の強化」「技術・研究開発の強化」など13項目(最大3つまで複数回答可能)のなかで、営業・販売力強化の73・0%に次いで人材の確保・育成が49・3%で続いた。伸び率は14年に比べて7・7ポイント増で、この1年間で最も頭を悩ます経営課題の1つとなった。
業種別にみると、建築関連分野では2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えインフラ関連需要の拡大が見込まれ、そのため労働者の確保が懸念されるケースもある。大企業を中心に海外生産シフトが進んでいる自動車関連、家電関連でも不安要素としての位置づけが高い。ただ、企業が持続的成長を遂げるには継続的な人材確保・育成が重要であり、そのための対策も待ったなしの状況にきている。
中小企業は特徴ある技術・商材・サービスを提供し、顧客の付加価値を高めることが生き残りのカギを握っている。そうした企業に人材が集中することで全体として日本の産業界の強さが維持・強化され、政府が掲げる成長戦略を後押しすることになる。大きな経営課題に浮上した人材確保について、国には迅速かつ中長期的な視点に立った支援策を望みたい。