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2014年12月16日 前へ 前へ次へ 次へ

転機迎えたポリエチレン(中) 生き残りかける国内各社

マーケットインで勝負
 
 輸入品と競い、また国内競争を勝ち抜くために各社が急ぐポリエチレン(PE)の差別化戦略。ただ、分子構造の制御だけに頼った材料開発はもう限界にきている。求められるのはマーケットインの発想への転換で、今後はエンドユーザーへいかに食い込めるかが勝負の別れ目となりそうだ。

 ※"高機能"へ転換※
 「待ちの姿勢では置いてきぼりを食うだけ。自ら攻めて新しい分野に打って出なければ」。住友化学の菅井正邦ポリオレフィン事業部・PE包材部長はいま、メタロセン触媒を用いた「イージー・プロセッシングPE(EPPE)」の新規用途開拓に躍起になっている。
 2005年の上市から10年が経とうとしているEPPEは、低密度ポリエチレン(LDPE)並みの成形加工性と直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)の強度の両立を売りに、マヨネーズ用ブローボトルや電線被覆グレードとして採用実績を伸ばしてきた。
 もっとも、「高性能だけに頼った成長では限りがある」(菅井氏)。現在は食品包材や農業・漁業、エネルギーなどをキーワードにマーケティング体制を見直し、「高性能」から最終製品で求められる「高機能」をいち早くつかむスタンスに転換しつつある。
 新規製品の開発、事業化を推進するため、既存の事業部の枠を超えたマーケティングや"営研工"の調整を行う「樹脂関連事業開発部」も設置した。「PEやポリプロピレン(PP)など製品ごとに縦割りで見ていたものに横串を刺し、営業部隊にも開発の専任スタッフを置くなど新規テーマの掘り起こしを進めている」。
 ※くずれるタブー※
 従来、樹脂メーカーはコンバーターやフィルムメーカーからの要望を受けて製品開発を進め、直接エンドユーザーと話すのは"タブー"とされてきた。しかし、エンドユーザーの要望も高まり、そうした空気は過去のものとなりつつある。
 「しがらみを捨てて、直接最終ユーザーへ飛び込むよう意識改革を進めている」。プライムポリマーの浜田直士取締役は自社の営業部隊に向けて昨今、顧客とともに市場を作っていくよう指令を出している。食品メーカーなどとも直接コンタクトをとり、新たな発想での製品開発につなげている。「確実に成果は出ている。寝具や家具などでも新しい製品にPEが使われるケースが増え始めた」。
 エンドユーザーも競合に勝つため、原点に返って素材を見直す傾向にある。「ポリオレフィンの特性をよくご存じないケースも非常に多い。樹脂の特性が分かると、お客さまの方でも新しいアイデアが生まれてくるようだ」。日本ポリエチレンの府川洋一社長も市場の変化を敏感に捉えている。
※需要を見極める※
 PEの歴史は古く、各社とも長い開発、販売実績を積み重ねてきた。LDPE「UBEポリエチレン」が来月、発売50周年を迎える宇部丸善ポリエチレン。山崎哲也社長はこの間、技術や特性の面ばかりに主眼を置いてきたのではないかと問題提起する一人。「次の50年を生き抜くには、お客さまの需要を見極めながらのマーケットインの発想へ切り替えていく必要があるのではないか」。性能開発とともに、自社製品がどのように使われるか、市場との対話を深めていきたいと強調する。
 各社が漫然と樹脂を売っていればいい時代はもう過ぎた。製品開発から最終製品までのサプライチェーンを見渡し、自社の得意技術を生かしてどの分野を狙っていくのか、その選択を問われている。
(続く)

【写真説明】エンドユーザーへ食い込めるかがカギを握る(都内の雑貨店)


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