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放置できないプラスチック漂着ゴミ
プラスチックを主体する海洋漂流ゴミが社会問題となっている。環境省の試算では、日本全国に10万トン近い漂着ゴミが存在し、海洋景観の悪化だけでなく、微細化したプラスチックが媒体となって含有有害物質による環境汚染が広がっている。ゴミは国境を越えて漂流し、汚染を引き起こした原因を特定しにくいこともあり、対策は後手に回っている。事態は悪化しており、放置できない環境問題という危機感が必要だ。
漂流ゴミの7割以上はPE、PP、PET、PVCなどの汎用プラスチック製品。さらに発泡スチレンや複合素材が2割程度と推定されている。プラスチックの軽量・丈夫などの特徴が問題を深刻にしている。漂着ゴミは直接海域に投棄されるだけではない。「川を経て海に至り、海流と風に流されて世界を回る。漂着ゴミ問題は廃プラスチック問題と言っても過言でない」と九州大学の磯部篤彦教授は指摘する。
環境省は海洋漂流ゴミの広がりに対応して、年間100億円程度の予算を確保して対策を講じている。磯部教授は「啓発活動として海岸清掃の意義はある」としながらも、「漂着ゴミは半年程度で入れ替わり、海岸に定着しない」と分析、ゴミ対策としての効果には疑問を呈している。
海洋漂流ゴミの実態調査が比較的進んでいる沖縄・石垣島や長崎・五島列島などでは、明らかに中国や韓国から漂着したプラスチック製品が多い。観光などビジネスにつながる海岸の清掃は行われているものの、人的や経済的制約から放置された場所もあり、「景観格差」が広がっているという。
汚染物質の輸送媒体になることを懸念する指摘もある。漂流するプラスチックは紫外線や物理的刺激、温度差で劣化、分解して5ミリメートル以下の微細片となる。このため添加剤として使われている有害重金属が生態系に拡散、海洋生物などに機能障害を与えているという。その科学的検証はこれからで、関係国の連携による調査研究が必要になる。さらに外来生物種の移動媒体としても漂着物が疑われている。今後の地道な調査に基づく解明を待ちたい。
プラスチックは産業や日常生活に大きな貢献をしてきたが、廃棄物の処理や含有添加物の有害性が社会的問題になるケースはこれまでもあった。海洋漂流ゴミ問題がプラスチックに起因するだけに、化学業界は今後の動向に注目しなくてはならない。漂流ゴミの実態調査への協力のほか、生分解性を改善した新規ポリマー開発など問題を軽減できる取り組みも積極的に進めてもらいたい。