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2014年09月26日 前へ 前へ次へ 次へ

明暗が交錯する樹脂加工産業の業況

 政府は9月の月例経済報告で、景気の基調判断を引き下げた。8月の判断では「消費増税にともなう駆け込み需要の反動も和らぎつつある」としていたが、天候不順もあって個人消費が落ち込んでいることを反映させた。7-9月期で成長軌道に乗るかどうかが、消費税率10%への引き上げの判断材料となるだけに慎重な状況分析が求められるところだ。
 プラスチック産業のデータもさまざまだ。全日本プラスチック製品工業連合会の2014年4-6月会員景況感調査報告(総回答数290社)によると、総合判断で「好転」は15・2%で前期(1-月)に比べ4・1ポイント低下、逆に「悪化」は32・8%で同6・2ポイント増えた。生産・売上高も「増加」は前期より減り、「減少」が増えた。
 増税後の反動はあるだろうが、電力コストや原材料費の上昇、人手不足といった構造的課題を理由にあげる企業もあり、楽観的な成長シナリオは描きにくい。企業のコスト節減には限界がある。製品値上げ交渉に入りたくても、個人消費の回復がなければ通りにくいだろう。
 上・下水道、住宅・ビル・工場向けなどの設備用、農業用などに広く使われる塩ビ管についても7月の生産・出荷は減少した。塩化ビニル管・継手協会がまとめた生産・出荷実績によると、7月の塩ビ管の生産は前年同月比23・9%減の2万2706トン、出荷は同14・9%減の2万3005トンだった。4月から7月までの累計は、生産が前年同期比20・0%減の8万5394トン、出荷が同18・0%減の7万8414トンと減少傾向だ。国土交通省による7月の新設住宅着工戸数は、前年同月比14・1%減の7万2880戸となり、5カ月連続で減少、消費増税の反動が続いている。
 ただ、悪いデータばかりでもない。樹脂板の7月の出荷は増加に転じた。硬質塩化ビニル製の平板・波板、ポリカーボネート(PC)製の平板・波板はいずれも出荷量が前年同月に比べ増えた。消費増税前の駆け込み需要の反動で、5月は塩ビ製平板・波板、PC製波板が減少したが、6月は塩ビ平板が増加に転じて回復基調にある。
 塩ビ平板は半導体などのハイテク分野をはじめ空調、看板・ディスプレイなど、塩ビ波板は住宅・建材などに使われる。PC平板は屋根などの建材や輸送機の窓など、PC波板は住宅・畜舎・外装などに幅広く利用されている。
 プラスチック製品の用途は広いこともあって、出荷回復の背景は分かりにくい。8月以降の統計に注目したいが、明るい材料ではある。


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