ニュースヘッドライン記事詳細

2014年09月25日 前へ 前へ次へ 次へ

注目すべき中国石化産業の構造転換

 中国の経済成長モデルが転換期を迎えるなかで、同国が進める石油化学産業の構造転換が世界に与える影響が注目されている。とりわけ、石炭を原料としたエネルギーおよび化学セクターへの投資は、米国のシェール革命などの動きと併せ、グローバルなエネルギーや石油化学需給に影響を与えるとみられている。
 中国は、2016年から始まる5カ年計画(第十三次五カ年計画)の策定の準備作業をスタートさせており、徐々にその姿が見え始めている。基幹産業については、GDP年率7%成長程度の"穏やかな経済成長の維持"を前提に、高度経済成長下における量的拡大を背景にした成長重視のモデルから、効率や品質、環境対策などにも配慮した先進国型の産業モデルへの構造転換を推し進めるものとみられている。
 石油精製・石油化学セクターでは、石炭や天然ガスを原料ソースに組み込んでのコスト低減、より付加価値が高く製品チェーン全体のバリューを高める高機能・差異化製品の導入、エネルギー効率を高め、環境負荷を低減するプロセス革新などが構造改善の目玉になると予想されている。中国石油・化学工業連合会の李勇武会長は先日、天津で開催された日中化学産業発展フォーラムの講演で「中国石油化学産業の新しい未来を創る」と述べ、石油化学産業の構造転換に強い意欲を示した。
 このうち、化学原料としての石炭比率の拡大は、今世紀に入って高騰した原油、ナフサなど原料コストを低減し、産業の競争力を回復させるための重要施策であり、国家のエネルギー安全保障とも密接にかかわる。
 石炭化学は、環境負荷や水不足といった課題が指摘されているものの、中国が長年技術開発を積み重ねてきた分野でもある。原油の使用量を抑えエネルギー市場における価格交渉力を高める意味でも、今後も一定の投資を推進するとみられている。基礎原料であるオレフィン(エチレン、プロピレン)の生産の3割程度を石炭由来とするとの見方もある。
 中国の石炭化学の競争力については、さまざまな見方がある。ただ、原油-ナフサを原料とする場合に比べればコスト優位とされており、日本、韓国、台湾といった極東のナフサベースの石化産業にとって新たな脅威となり得る。
 その一方で、米国のシェール革命と中国の石炭化学が同時に進めば、在来型の原油消費の拡大に一定の歯止めをかけることになる。結果として、ナフサの国際市況を押し下げる要因ともなるだけに、今後の動向を注視する必要があろう。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.