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2014年09月11日 前へ 前へ次へ 次へ

連載「アメリカ復権」(下)〜ニューヨークレポート〜

三菱ケミカルホールディングスアメリカ・吉里彰二社長に聞く
問われる内部統制の強化、拡大とともに役割は重く

  
 景気回復を機に多くの日系企業が米国での事業拡大を模索している。現地法人の設置やグループ拠点の拡充を図るうえで注意が必要なのが内部統制(コンプライアンス)の徹底だ。小規模なコンプライアンス違反でも日本よりはるかに厳しい処分を科され、行政からの罰金だけで数百億円に達する場合もある。「明るみに出ていないだけで日系メーカーの多くが米国で痛い目に合っている」(米国の日系商社)。多くの会社が体制の見直しを迫られるなか、2011年に内部統制を主たる会社として発足した三菱ケミカルホールディングスアメリカ(MCHA、ニューヨーク)の吉里彰二社長に現状認識を聞いた。
     ◇ ◇ ◇
 -MCHAはユニークな形態の会社です。いわゆる現地統括会社とも異なります。
 「他に類を見ない会社ではないだろうか。当社は三菱ケミカルホールディングス(MCHC)の100%子会社であり、MCHCが米国で展開する30超のグループ会社の内部統制を担っている。従業員は15人で、そのうち弁護士6人を含む9人が法務部員だ。MCHAの前身は三菱化学アメリカのアドミ部門だが、グループがホールディングスとなり、米国の事業が広がっていく中で日本からの管理が難しくなったことがMCHAが設立された背景にある。グループでは中国と欧州にも同様の組織を設けている」
 -具体的な取り組みは。
 「米国は訴訟社会だが、政府が定めた項目を全て実施していれば万一コンプライアンス違反があっても会社の責任は限りなく低減できる。MCHAの法務部長が全米全社のチーフコンプライアンスオフィサーを務め、対策のプログラムは全社にとって義務だ。パソコンでのオンライントレーニングや各社へ出向いての研修を実施し、アメリカ非居住の役員もオンライントレーニングを受講している。内部監査も全社が対象だ。加えてグループファイナンスを、また子会社のMCHAサービスが納税代行やペイロール、ITなどのシェアードサービスを提供している」
 -米国の事業規模は拡大が続き、役割はますます大きくなりそうです。
 「昨年から今年にかけてクオリカプスやメディカゴ、アルディラ、コミューサと4社が加わった。全体では従業員3200人、売上高24億ドルと、それぞれ10年比で2割、3割増加している」
 「内部統制がわれわれの使命だが、MCHAが多岐にわたるグループ会社間のコミュニケーションを深める触媒になればよいとも考えている。社長会、経理部長会議、IT部長会議、工場見学会などを開催し、ベストプラクティスの共有、ネットワークの構築に努めている」
 -内部統制の強化は多くの日系企業にとっても大きな課題です。
 「たった1人の人間が何かひとつ間違いをするだけで、そのグループ全体が大きな損壊を被ることになる。1度で何十億円という課徴金を課されたというケースも耳にする。われわれもこの1年で弁護士を2人、内部監査も1人増やし、体制を拡充している。多くの企業が米国拠点を増やしており、リスクマネジメントはより一層性根を入れて取り組まなければならないテーマになるだろう」
(聞き手=但田洋平)
(了)


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