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2014年08月26日 前へ 前へ次へ 次へ

記憶から消え去らないだろう広島の土砂災害

 8月も残りわずかとなり、暑中休暇の話題も職場から消えかけてきた。子どもたちは、夏休みの宿題という遠ざけていた重荷といよいよ対峙する頃。そんなことを思うと、自らの遠い夏の愚かな記憶も蘇ってくる▼記憶のなかには、視覚だけでないさまざまな五感が定着していることがある。学生時代によく聴いていた音楽を久しぶりに聴けば、その頃を思い出す。もっと別の感覚、例えば味や香り、あるいは手触りといった感覚が古い記憶と結び付き、ある特定の場面を思い出させたりもする▼その一方で、ついこの間の経験や記憶が曖昧になっていたりする。何度も経験した夏の暑さや冬の寒さでさえ、半年後にはどの程度だったか忘れがちである。大事故や災害といったニュースの記憶も、新たなニュースが消し去ってしまう。人間の記憶とは雑多でいい加減なものなのだろうか▼このところの天候不順が、広島県で死者、行方不明者合わせて約80人という痛ましい土砂災害を引き起こした。被災者、関係者の心痛やいかばかりかと思いつつ、現地にボランティアで援助に駆け付けた方々の行動が心に迫った▼救援者の方々はきっと、現場でなければ体験できないさまざまな感覚を味わったことだろう。夏の日の災害の記憶は、五感とともに長く記憶にとどまるに違いない。


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