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2014年08月19日 前へ 前へ次へ 次へ

エンプラメーカー 加速する海外展開(上)

顧客密着、迅速対応図る
自動車の需要拡大に対応

 国内エンプラメーカーが海外展開を加速している。キーワードは「ユーザーのより近くへ」。世界的な自動車増産にともなうエンプラ需要拡大の波に乗り、主要顧客の拠点ごとに担当者を置いて顧客の製品開発プロセスに深く関わったり、中国内陸部やインド、メキシコなどを本格開拓する動きが活発化している。
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*細かな技術支援
 「顧客の近くできめ細かい技術支援を行うため、当社もグローバルに顧客にコンタクトしていく。その要がキーアカウント活動だ」と、エンプラ国内最大手・ポリプラスチックスの後藤昇社長は力を込める。
 キーアカウントとは、主要顧客のこと。具体的には自動車部品メーカーなど大口顧客の開発、金型製造、部品製造の各拠点に担当者を配置し、技術的なニーズに迅速に応える。ポリプラは昨年から欧米市場開拓を本格化させており、キーアカウント活動が成功のカギを握る。
 「コンパウンド工場は比較的少額の投資ですむため、樹脂部隊は新市場開拓の尖兵的な役割を担っている」と話すのは東レの佐藤昭夫常務取締役。
*相次ぎ拠点構築
 同社は昨年、インドネシアのジャカルタと中国内陸部の成都(四川省)でナイロンなどのコンパウンド拠点を立ち上げた。中国沿岸部の同社コンパウンド拠点は顧客の多くが日系。しかし、成都工場は中西部におけるローカルの電子・電気、自動車メーカーの需要拡大を見越して設置した。このほかインドやメキシコでも自前拠点の設置を検討している。
 ナイロン66大手の旭化成ケミカルズは自動車向け需要拡大に応え、米州でエンプラ事業を強化する。2016〜17年をめどに米南部アラバマ州とメキシコにコンパウンド工場を新設する計画。中国やタイ、インドネシアの新増設も進める方針だ。また、中国では昨年、米デュポンとのポリアセタール(POM)製造合弁(江蘇省)を独資化。経営の自由度を高め、現地でもPOMコポリマーの低VOC(揮発性有機化合物)化など高付加価値化を追求する。
*受託生産も予定
 東洋紡は今夏、ブラジル・サンパウロ州で同社にとって海外初となる自前のコンパウンド工場を立ち上げる。生産能力は年5000トン。自動車部品向けナイロンを生産するほか、ポリプロピレンやアクリロニトリル・スチレン・ブタジエン(ABS)など汎用樹脂の受託生産も手掛ける予定。米州での自動車増産に対応し、日系顧客向けを中心に供給量を増やす。委託生産を検討する日系樹脂メーカーも多そうだ。
 高耐熱のナイロン9Tを手掛けるクラレは、海外での増産投資を検討中。自動車や発光ダイオード(LED)反射板向け需要の拡大に備える。原料ソースや市場性を踏まえ、東南アジアや欧州を候補としている。
 三菱エンジニアリングプラスチックスは昨年、中国・青島(山東省)に上海現法の支店を開設し、中国市場全体をカバーする販売体制を整えた。「地域ごとに自動車やE&E、医療などユーザー産業が異なるため、各分野の専門担当者を張り付ける」(浦部宏社長)方針だ。
 また今年に入り、ベトナムとフィリピンでポリカーボネート(PC)コンパウンドの生産を開始した。日中関係の先行き不透明感が払拭されないなか、同社の顧客にも生産拠点の"チャイナ+1"を模索する動きが出始めた。その近くでコンパウンドを生産し、顧客のサプライチェーンを支える。
(続く)

【写真説明】
東洋紡初の海外コンパウンド拠点「アメリカーナ工場(ブラジル)」。米州での自動車増産に対応し日系顧客向けを中心に供給する


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