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2014年05月26日 前へ 前へ次へ 次へ

ペトロリオミクスを先導する日本に

 原油からナフサなどを経由せずに、直接オレフィンなどの石油化学製品を得る、世界初の"オイル・トゥ・ケミカル"が現実のものとなってきた。
 今年初め、エクソンモービルケミカルによってシンガポールでスタートしたのに続いて、サウジ基礎産業公社(SABIC)も、2020年の導入に向けた検討の最終段階にあることを公式に表明した。さまざまな成分を含む原油から石油化学原料を効率良く製造するためには、分子レベルの反応制御が必要になる。近年、「ペトロリオミクス」と呼ばれる石油を従来とは異なるレベルでとらえる解析技術が注目を集めており、日本は国を挙げて開発に取り組んでいる。今後この分野で世界をリードすることで、石油化学のパラダイムシフトを先導できる可能性が指摘されている。
 ペトロリオミクスは、近年の分析技術やコンピューター技術の飛躍的な発展を受け、石油精製プロセスに分子レベルでの反応・分離シミュレーションの活用を推進していくための新しい技術体系。原油の組成は膨大な数に上り、反応経路は無数にある。このため従来技術では沸点の異なる留分として区別された混合物としての一般性状を分析するにとどまっていた。
 日本では石油エネルギー技術センター(JPEC)が11年度から経済産業省の支援を受け、5カ年計画で開発に取り組んでいる。元々は、米国で油田開発を進めるうえで原油の成分を分析する目的で利用されてきた。日本の技術開発は石油精製などダウンストリームへの応用に主眼を置いている点が特徴。
 すでに重質油分解の高度化などへの応用が進んでいるが、ペトロリオミクスへの期待は、こうした石油精製の分野だけにはとどまらない。原油や石油製品の詳細な解析が可能になることで、原油から石油製品を得るための基本技術である蒸留やナフサからエチレンを得る際の熱分解を、膜技術によって代替することも夢物語ではなくなる。
 シェール革命によって原油の供給は多様化しており、サウジアラビアなど産油国では、原油の高度利用の関心は今後さらに高まりをみせるだろう。ここで革新的な技術提案で他国に先んじることは、権益獲得における国際競争で日本が優位を確保できることにつながってくる。
 大学などの基礎研究とは違って、産業界におけるペトロリオミクスは、分析の高度化にとどまらず、その応用技術によって実用化を進めない限り意味をなさないことは言うまでもない。一方で、大きな果実を得るためには、それだけ長い助走期間が必要であることも併せて心に留めておきたい。


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