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適正取引を「協調」へ発展させよう
中小企業庁が「化学産業適正取引ガイドライン」を4年ぶりに改訂した。4月の消費税率引き上げを控え、増税分の製品価格への円滑な転嫁を促すことが狙いだ。委託合成や特注品の供給など下請け・製造委託取引を対象にして、力の強い企業が弱い企業に対し、一方的に負担を押し付ける不公正な取引で全体の効率性が損なわれかねない。通常の原料・製品取引も含め、化学産業のあるべき取引の姿を考える契機としたい。
改訂にあたり中小企業庁は、約800社へのアンケートや個別ヒアリングを実施し業界の実態を把握。適正取引の推進に向けて、法令上問題となる想定例の追加などを行った。消費増税に際し、複数の原材料について一律に一定の比率で原価低減を要請することなどを転嫁拒否にあたると指摘したほか、手の込んだ迂回策にも釘を刺した。
「消費税率の引き上げに際し、食品包装のリニューアルということでデザインが見直された。その包装材に使用されているプラスチックフィルムは、従前と同商品にもかかわらず、別商品として見積もりを取られ、通常支払われる価格に比べて低い価格に設定された」といったケースが該当する。
増税分の転嫁にとどまらない。原材料価格の上昇分を価格に反映させる際、委託事業者が一方的に従来価格に据え置いたり、廉価品を引き合いに出して、品質や技術力、信頼性を反映させずに十分な協議を行わないままに支払われるべき価格より低い価格を設定したりすることも、不公正な取引事例として挙げている。
中小企業庁は問題発生の土壌に関して、「発注事業者と受注事業者との間で取引上の問題が生じるのは、両者の間で『適正な取引』に対する認識が異なっていることが原因であることが多い。例えば、製品の適正な価格について発注事業者と受注事業者の認識にズレが生じている場合には、発注事業者側は適正な価格であると考えていても、受注事業者にとっては不当に『買いたたかれた』ように認識されやすい」と指摘している。望ましい取引としては、十分な協議と取引条件の明確化が大前提となる。
こうした「相互理解」を「協調」にまで高めていくことが重要となる。そのためにユーザーとサプライヤーが成果をシェアできる仕組みの構築が求められる。製造原価や技術・競争力に基づいた合理的な製品単価の設定はその一環。これにより、サプライヤーには品質・技術力を向上させるインセンティブが働く。そのことはユーザーにとっても製品の品質向上につながって「協調」が実現する。