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欧州化学企業トップ エネコスト上昇 強まる危機感
EUのGHG40%削減案で相次いで公開書簡
競争力そぎ空洞化が進行
欧州化学企業の経営者が、エネルギー問題を中心に産業競争力の低下に危機感を強めている。1月にBASFやソルベイなど14社のトップが連名で欧州委員会委員長に「エネルギー価格についての警告」と題する公開書簡を、今月にはイネオスのジム・ラトクリフCEO・会長も同委員長に「欧州の化学産業は繊維産業の二の舞になる」との内容の書簡を送り話題を呼んでいる。連名書簡に加わっていないバイエルも「税金など電力にかかる負担は米国の2倍。これ以上のコスト上昇は受け入れられない」と声明を発表し、産業の実態と重要性を直視した政策の実施を要求している。
※成長目標と調和を※
引き金になったのは1月に発表した欧州連合(EU)の気候変動・エネルギー目標だ。その骨子は温室効果ガス(GHG)を2030年に90年比で40%削減、再生可能エネルギーを30年までにエネルギー消費量の27%まで引き上げることなど。さらにEUは炭素税の導入を検討している。
一連の公開書簡や大手トップの発言は、こうした動きを牽制する狙いがある。連名書簡では「EUにおけるさらなる化学品投資を結集するための政治的シグナルを欲する」とし、「GHG削減の目標は単一かつ現実的であるべき。ただし、GHGの削減目標を独り歩きさせてはならず、産業の成長目標と調和がとれていなくてはならない」と警告を発している。
一方、バイエルの声明は、ドイツ国内だけで「再生エネルギーに関する政治的プロモーションによってもたらされたコストアップは年間10億ユーロに上る」とエネルギー問題の経営への影響を強調している。
※10年後には消える※
イネオスのラトクリフ会長は欧州化学産業の存亡にかかわる事態との認識だ。書簡では「欧州の化学産業は10年後には消えてなくなる。北米、中東勢力との原料コスト競争に、環境税によるエネルギーコストの上昇で欧州の化学プラントの閉鎖は急速に進む。20年までに710億ドルという巨額の投資が進行中の米国のシェールガス・オイルがもたらした原料コスト競争力はすでに欧州の3倍に達している。欧州の化学産業は売り上げ1兆ドル、直接雇用100万人を抱え、自動車産業と製造業の覇を競う」と欧州の基幹産業の危機を訴える。
また、自社の現状を例にとって「イネオスが有する60の化学プラントのうち32は欧州にある。しかし、利益は過去3年で半減し、米国に有する化学プラントの利益は3倍になっている」としている。ラトクリフ会長は英国の化学産業にも触れ、「09年以降、22のプラントが閉鎖される一方、建設された設備は一基もない」。
共同書簡に参加したBASFのクルト・ボック会長は、エネルギーコストの上昇を背景にドイツにおける設備投資を向こう5年間、これまでの全世界での投資の3分の1から、4分の1に縮小することを現地紙で明らかにした。ボック会長は政治的な再生エネルギー促進による電力価格への割り増し金制度を強く批判している。
世界の化学産業は、シェール革命で石油化学事業の収益性を改善した米国勢、強い原料競争力を有する中東勢が存在感を高めている。そうしたなか、エネルギー問題は日本の化学産業にとっても極めて重大で、欧州の動向を注視する必要があるだろう。
(松岡克守)