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2014年03月19日 前へ 前へ次へ 次へ

ラオス見聞(下) 人材に苦慮する進出企業

確保難しく教育に手間も

 ラオスに進出している日系企業に実態を聞くと、良くも悪くも"ヒト"がポイントのようだ。地域差もあるが、低賃金とはいえ人材確保が難しい。人口が他のタイプラスワン候補国に比べ少ないほか、一説では合法・非合法を合わせて100万人近くがタイへ出稼ぎに出ているという。
※県外に触手伸ばす※
 中部のサワン・セノ経済特区にタイプラスワンとして進出し、3月に工場を稼働した光陽オリエントジャパンは、"募集キャラバン隊"を編成し3日間にわたり県外まで巡業した。昨年10月に同地区で工場を稼働させたニコンも今期中に800人体制を目指すが、現状は500人にとどまる。ニコンタイの村石信之社長は「面接にはまず親が来て、大丈夫だと確認してから本人が来る慎重さに驚いた。時間がかかるので計画は未達になるだろう」とし、中長期で採用に取り組む覚悟だ。労働者の大半は通勤手段を持たないため、ニコンは送迎バスや寮を整備。他の進出企業も同様の手段を講じて人材の定着に努めている。
 南部のパクセは比較的人が集まりやすいようで、チャイナプラスワンで同地に進出した着物メーカーのアンドウには工場の建設とともに周辺住民が押し寄せ、「断っても繰り返し訪ねてきた」。しかし、採用したにもかかわらず「半分は就業日に来ない」など苦労は絶えない。同地にタイプラスワンで進出し、昨年10月に工場を稼働したかつらメーカーのレオンカワールドは、当初採用した100人のうち2割が文字の読み書きができず、ウレタン製の頭皮に手作業で毛を植える工程の稼働率はタイ工場の5割。「技術習得に1年はかかる」とするが、どの進出企業も懇切丁寧に教えれば忠実に業務をこなすようになるとの見方で一致する。
 こうした事情は人材の大半が農民であることと関係しているようだ。「日の出とともに働き、日が沈めば休むリズムが染みつき、会社のタイムスケジュールで働くことに慣れていない」との声も聞かれ、雨季の農繁期や旧正月の4月中旬には離職率が高くなるという。
※タイ人が指導役に※
 ラオス語とタイ語は近い言語のため、教育係にはタイ拠点からタイ人を招き通訳兼技術指導者として活用するケースが多い。首都ビエンチャンにタイプラスワンで進出したカメラ用部品を製造する東京コイルも、マザー工場から呼び寄せたタイ人をマネージャーに据えている。同工場は文字や生産用語を習得するトレーニングルームも併設している。言語や教育面を考慮すればラオスへの進出はタイプラスワンが現実的で、日本からの直接投資に否定的な見方が多いのも頷ける。また、日系デベロッパーが開発するSEZだけでなく、「現地の信頼できるパートナーをみつけることも重要」との声も多い。パクセに進出した日系企業3社は、日本に留学経験をもつラオス人の手引きを受けている。
 ラオス人の人柄は柔和で穏やか。愛嬌もある。住人と接すると合掌であいさつしてくれ、カメラを向ければ照れ臭そうにはにかむ。多くの課題を抱えながらも「ラオス好き」を公言して憚らない現地で働く日本人も多く、投資信託会社の調査員は「ともに働くことになる人たちのこうした性質が進出の最後の決め手になるのかもしれない」との感想を漏らしていた。経済指標だけでは測れない魅力が、ラオスには確かにあるようだ。
(了)


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