ニュースヘッドライン記事詳細

2013年10月28日 前へ 前へ次へ 次へ

エネルギー激動時代に的確な対応を

 世界のエネルギーを取り巻く環境は、複雑かつ不透明感を強めている。米国で始まった非在来型天然ガス・石油の開発が世界に広がり、シェアを拡大しつつある。一方で、これまで原油や天然ガスの供給基地であった中東は、政治的混乱に収束の見通しが立たず地政学的リスクがより高まっている。経済成長の続くアジアの化石資源需要は右肩上がりの上昇が避けられない中で、世界のCO2削減に向けた取り組みは停滞したままだ。このような事態にも係わらず、日本のエネルギー政策は方向性を見いだせず、世界規模のエネルギー激動に埋没して負け組に陥る不安が増している。
 日本エネルギー経済研究所の「アジア/世界エネルギーアウトルック2013」は、副題で"シェール革命がもたらす変革をどう読むか?"と課題を明確に示した。非在来型天然ガス・石油の2040年までに生産見通しは、レファレンスケース(国際エネルギー情勢がそのまま続く)、開発促進ケース(非在来型資源の開発が世界各地域で一層進展する)を想定して策定した。開発促進ケースでは、40年の世界の天然ガス生産が現状比83%増を見込むとともに、今後30年の増産分の3分の2は非在来型とした。
 一方、40年の世界の1次エネルギー消費は11年比で5割増となり、増加分の59%はアジアの非OECD諸国が占める。アジアの輸入依存度は上昇、40年には世界の主要地域で取引される原油の77%、天然ガスの71%がアジアに向かう。とくに中国のエネルギー消費量は米国の1・9倍、インドは世界3位の消費国となりEU全体を上回る。
 アウトルックの主要テーマに位置づけたシェール革命の影響(レファレンスケース)に関しては、40年の実質GDPを推定、分析した。化石資源の純輸出ポジジョンの確保する米国のほか、中南米、インド、豪州、中国などが経済的恩恵を受ける。日本も価格低下効果によって40年の純輸入額は年間1600億-2000億ドルへ低減する。逆に旧ソ連と中東は打撃を受ける。
 日本はシェール革命による負け組にはならないものの恩恵は少ない。加えて原油価格に連動したLNG価格体系の見直しという課題を抱えている。これに対し、中国は非在来型資源開発を加速しており、予想以上に早い時期に生産国として登場する可能性も指摘されている。
 地球温暖化防止の視点からは化石資源依存からの脱却も迫られている。原発再稼働とともに、再生可能エネや省エネの役割も増す。安全保障・環境保全・経済性を統合したエネルギー政策をこれ以上先送りすることはできない。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.