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2013年06月26日 前へ 前へ次へ 次へ

安全対策に"納得感のある規制"を

 原子力規制委員会による新しい原子力の規制基準が来月早々にも閣議決定される。しかし、基準策定の過程で事業者との意見交換の機会が設定されなかったことに、透明性と公開性を欠いていると不満が噴出している。化学産業においても続発した重大事故、化学物質による労働災害などを契機に規制強化が話題になることが多い。実効ある安全対策を進めるには、規制当局と事業者などステークホルダーとの意思疎通が問われる。
 東京電力福島第1原発の事故で、原発に対する社会的関心が一段と高まり、事故の教訓を踏まえて規制を見直した。テロ対策などを含めた過酷事故対策、既存設備の安全対策充実を目的にした設計基準、活断層調査の強化や津波防護策を定めた地震・津波対策の3つで構成、より詳細な基準となった。
 問題は規制委員会と電気事業者の意見交換を公開の場で行う機会がなかったことだ。事業者は、規制委員会が説明責任を果たしておらず、"納得感のある規制"には程遠いという。原発立地地域の地方自治体も説明を要求したが、実現しておらず幅広いステークホルダーに説明責任が不足していると指摘せざるを得ない。
 化学産業にとっても、各種安全規制の順守はコンプライアンス経営を支える。原発規制基準が活断層問題やテロ対策など非工学的視点も盛り込まれているのに対して、化学に関する規制は工学的知見に立脚していることは評価できるだろう。
 しかし工業化されている化学物質は3万を超えている。化学工場のみならず印刷工場の胆管がんのように化学工場以外での事故も発生する。化学物質の安全対策のすべてを規制で対処することは現実的でない。
 原子力産業と化学産業の規制を同一に論じることに無理はあるが、共通点もある。事故などリスクに対する認識は、規制当局以上に事業者は熟知しており、規制を受け入れるだけでは実効ある安全対策は前進しない。一方で労働安全衛生法を所管する厚労省化学物質対策課の奈良篤課長は「企業からこの物質は規制の対象になっているか、法律違反になるか、罰則の対象かという問い合わせがあまりにも多い」と課題を指摘する。
 化学工場で発生した重大事故の多くは、ベテラン技術者が退職するなかで現場の人為的ミスが多いとされる。とくにプラント停止や再稼働など非定常時に発生するトラブルが目立つ。この改善は現場の自主的取り組み、創意工夫なしには実現しない。安全規制は重要だが、事業者の努力を反映させる規制当局の姿勢と両輪で進めないと安全文化は醸成されない。


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