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ゆっくり食べて健康維持する習慣を
中年男性では食事を食べる速さが速いと、内臓脂肪蓄積面積の増加と関係あるという研究成果が、静岡県立大学を中心とする研究グループにより明らかになった。消費者の健康意識の高まりを受け、機能成分を配合した健康食品や飲料が相次いで開発されている。商品には効果的な栄養組成が求められるが、こうした研究事例はまだ少ない。食べる速さには個人差がある。健康と栄養との関わりを追求するうえで、これから取り組むべき研究の新たな方向性を示したものといえる。
疾患予防のための食品開発への期待感が高まっているだけに、食品・飲料メーカーは一歩進め、人の食行動を考慮した商品設計や消費者自身の健康管理に役立つ食べ方の啓蒙などトータルサポートを提唱していくことも今後のテーマといえる。
2009年国民健康・栄養調査によれば、肥満度(BMI25以上)の男性の場合、「食べる速さが速い」との回答が肥満でない人に比べ多い。また食べる速さが速いほど糖尿病の有病率と重なるという研究報告もある。よく噛んで食べれば、満腹感を感じて、食欲が抑えられ、脳内物質の働きにより内臓脂肪の分解を促進するといわれる。
内臓脂肪の蓄積面積が増えることが、なぜ健康に良くないかといえば、メタボを招き、さらに動脈硬化症の発症リスクを増大させることが知られているからだ。静岡県立大の研究グループは、30-64歳の健康な中年男性320人を対象に、CTスキャンによる脂肪面積を測定して、食行動との関連性を調べ、新知見を得た。東京大学で開発された方法を用いると、約4割が標準よりも速いと感じているという。脂肪蓄積面積を増やす要因とみられる年齢の違い、喫煙本数、運動習慣、エネルギー摂取量、それにアルコール摂取量の影響を取り除いても、食べる速さが速いと内臓脂肪面積の大きくなることが示唆された。
総務省の11年社会生活基本調査では、25歳から79歳まであらゆる世代で食事の時間が概ね減少している。外食産業では混雑時の回転率を上げるため、速く食べられるメニューを導入するレストランもある。
今回の研究成果の公表を契機に健康な生活を意識的に実践する機運が高まることに期待したい。食育は子供だけでなく成人にも機会を増やす必要がある。疾患予防の重要性が叫ばれ、食品に対する注目度は高まっている。食行動を考慮した食品開発は健康維持のキーワードの一つとなるだろう。食品化学に立脚した製剤技術、素材開発は日本の得意技でもある。成熟した日本の食品市場へ活力を与える可能性は無限といえる。