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2013年05月28日 前へ 前へ次へ 次へ

アフリカ市場を官民連携で取り込め

 第5回アフリカ開発会議(TICAD)が来月1-3日に横浜市で開催される。これまでのTICADは、貧困対策などアフリカ援助が主要議題だったが、豊富な資源開発とともに、着実に増える中間層市場開拓に向けて日本企業の進出支援に軸足を移す。アフリカの成長力を官民一体で取り込みたい。
 ここ数年、「BOPビジネス」が広く使われるようになった。年間3000ドル以下の所得層をピラミッドの底辺部門に見立てた表現だが、3000ドルを超えると有力市場となる。これを見越し、先手を打って市場開拓を進めることで、世界の競合企業に対し優位に立つ。
 アフリカは、南アジアなどとともにBOPビジネスの激戦区だ。その背景に人口増加がある。2010年に10億人を突破した人口は、30年には約16億人と中国やインドを上回り、50年には22億人に達する見込みだ。経済成長もアジア途上国には及ばないものの、世界平均を上回り、1人当たりGDPは10年の約1700ドルから20年には2300ドル近くまで増加する。
 残念ながら、日本のアフリカ市場開拓は停滞している。鉱物資源の輸入が多いこともあり慢性的な輸入超過が続く。歴史的に関係の深い欧州のみならず、中国や韓国よりもアフリカ向け輸出額は圧倒的に少ない。トヨタ自動車など高品質を武器に高いシェアを確保している企業もあるが、消費者向けを主体とするBOPビジネスで活躍している企業は少ない。アジア市場に比較してビジネス機会が少なかったことに加え、それぞれの国の市場が小さいことで集中的、戦略的投資ができなかった。
 韓国のサムスン電子は、15年のアフリカ事業を10年比約8倍の1兆円を掲げて投資を拡大、中国企業とともにアフリカ市場で存在感を高めている。日本企業も、アフリカは無視できないと認識されつつあり、政府はTICADの場で、アフリカ投資促進を目的にした金融支援を表明する。資源開発、物流網の整備など社会インフラ、農業支援などに積極的に取り組む。
 BOPビジネスに限っても、住友化学のマラリア予防蚊帳が成功モデルになっているほか、味の素、ユニ・チャームなども積極的である。東レは繊維製品を利用した砂漠緑化、農業支援に乗りだすなど化学技術・製品に対する期待は大きい。
 ただ、生産拠点としては高い人件費、物流網整備の遅れなど課題も抱え、官民連携の重要性が高まっている。同時にインドなど第3国を生産拠点として活用、現地のパートナー企業との連携などきめ細かな戦略を駆使して日本製品・サービスをアフリカ市場に定着させてほしい。


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