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充実すべき中小企業の海外進出支援
「アベノミクス」効果で円安に転じた為替相場をはじめ、「六重苦」問題の様相が変化しつつある。しかし、確実に進行する少子高齢化や電力供給ネック、改善策が示されない法人税など日本企業を取り巻く環境の厳しさは基本的に変わっていない。今後の持続的成長を考えると、海外展開は必要条件の一つで、中小企業も迫られている。ただ「ヒト、モノ、カネ」が相対的に弱い立場だけに、その支援体制の充実が急務だ。
最近の円安傾向は「超円高」のくびきから抜け出して、輸出企業にある種の安堵感をもたらしているようだ。しかし、中小企業にとっては、取引先の大手企業がこの間進めてきた海外生産強化に対応した"生き残り"を賭けた事業展開の手綱を緩めるほどの環境にはないのが実情だろう。
ジェトロの調査によると、中小企業が海外進出を決める要因として過半を占めるのが「海外での需要増加」。ここで興味深いのは、「取引先企業の進出」という"非自発的"理由を上回っている点である。為替や電力など事業環境は決定的な要因ではない。換言すれば、成長市場の取り込みという基本戦略が明確になっているようだ。
ただ、海外進出に当たっての課題は山積している。とりわけ実務を担う人材の手当ては深刻のようだ。そのほか、現地での人材確保や育成、信頼できるパートナーとの関係構築、労働慣行の習熟、知的財産保護など克服すべき課題は多い。
人材確保および育成は、中小企業にとって政策支援が必要となる。中小企業庁は2011年度から中小企業支援事業の一環として、海外経験のある人材データベースを活用した「新現役マッチング」事業を進めていたが、12年度で終了した。中小企業にとっては貴重な人材確保のツールとして評価されてきただけに、政府としてはその復活を検討すべきだろう。
こうした一方、ジェトロは今年5月から専門家による「新興国進出の個別支援サービス」を開始した。中小企業に対して、新興国でのビジネス経験・ノウハウを豊富に持つ企業OBなどのシニア人材を派遣、海外進出の支援を行う。専門家の公募とともに支援先企業の受付を始めており、今後2年間で、1000社の支援を目指すという。
グローバル化が急展開するなかで、成長市場における競合も激しくなっている。日本のモノ作りを支えてきた中小企業の海外展開は、日本の成長戦略を推進するうえで重要性の高い政策である。シニア人材の活用はもちろんだが、オールジャパンで支援戦略を構築、推進すべき局面である。