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2013年04月24日 前へ 前へ次へ 次へ

長期戦略による黒鉛資源確保対策を

 わが国の資源戦略が新たなステージに入った。ネオジムやセリウムをはじめとするレアメタルの価格高騰は落ち着いてきたが、代わって黒鉛という一般にも馴染みの深い鉱物相場が高騰している。資源貧国の日本は原材料の安定調達が経済活動の命綱。円安、株高で勢いの戻ってきた今こそ、オールジャパン体制で資源戦略を強化したい。
 経済産業省は黒鉛、フッ素、マグネシウム、シリコンの4物質の資源確保強化策を講じる方針だ。いずれも供給不足が懸念され、国を挙げて鉱山開発などの権益拡大を推進すべきと判断した。すでに大手商社は調達先の拡大に動いているが、政情不安な地域での契約を巡るトラブルなどが発生した際に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が支援することで安定調達を図る。
 さまざまな資源問題が浮上する背景に、新たな有望市場の登場がある。その一つは電気自動車(EV)などのエコカーや蓄電池市場の拡大である。エコカーのモーターに使われる高性能磁石にはジスプロシウムが必須であり、その相場は一時期よりは下落したとはいえ高止まり状態。鉛筆の芯や大型リチウムイオン2次電池(LiB)の負極に使われる天然黒鉛はここ数年値上がりが続き、収まる気配がない。いずれも主要産出国は中国であり、不透明な資源政策がわが国の関連業界に影響を強めている。
 EV売り上げ低迷によるLiB値下げ要求の強まりと、原料高との板挟みにあって黒鉛関連業界は淘汰も考えられる。だが、「製鉄や重電が親会社の企業が多く、あきれるほど危機感がない」という指摘がある。こうしたなか、見逃せないのは中国の天然黒鉛大手が日本に売り込み攻勢をかけていることだ。中国には民生用小型LiBの工場が集中するが、需要急増を見越して増産体制を整えたところにスマートフォンは成長が鈍化。現地のEV大手メーカーは生産計画を大幅に下回っているとあって売り先をLiB大国の日本に求めている。
 その一方で中国の資源ナショナリズムを警戒する日本の負極大手企業は、中国での天然黒鉛事業を拡大中である。このような日中入り乱れの状態が続けば業界再編も現実味を帯びてくる。わが国にとって資源対策は永遠の課題だが、たびたび浮上する問題に振り回されるのではたまらない。先手を打ってマルチソース化を推進する戦略性が必要だろう。関連業界も個々に競うだけではなく、一丸となって鉱山開発や加工拠点整備などのインフラ面での協業を検討すべきだ。オールジャパン体制での競争力強化を期したい。


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