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【連載(下)】 統合報告書 変わる情報開示
国際基準、年内にも発表
理解促進へ独自工夫必要
※価値提供の健全性求める※
国際統合報告委員会(IIRC)は、年内にも統合報告書の作成基準を発表する予定だ。現在、IIRCの基準原案を基に企業が統合報告を作成し、その成果を基準づくりにフィードバックするパイロットプログラムが実施されている。
武田薬品工業は2011年からプログラムに参加。日本企業が取り組んできた環境保全活動や社会性に関する取り組みが正当に評価される報告形態となるように積極的な提言を行っている。同社は近くIIRCに対し、報告書の構成要素に「価値の保存」を盛り込むことを提案する方針だ。
現状、IIRCが報告内容として重視しているのは企業がどのように資本(金融、人的、自然資本など)を活用し、社会にどのような価値を提供しているかを明らかにすること。これに対して武田薬品は保全活動がなければ毀損されがちなその資本を保全する活動も、企業の持続性にかかわる重要な問題と捉えている。つまり、「価値創造プロセスの健全性」を報告する必要があるというわけだ。
具体的には、温室効果ガスや水使用量の削減、生物多様性の維持といった自然資本の保全活動を報告内容に盛り込むことなどが考えられる。
※BCP特集で具体例紹介※
統合報告の作成基準は報告の質と比較可能性を担保するために不可欠といえる。ただ、企業の事業内容や特性はそれぞれ異なる。投資家などに成長性を理解してもらうためには、作成にあたって独自の工夫が求められる。武田薬品は「基準で要求される部分以外は企業個々の『自由演技』が求められる」と指摘する。
オムロンも報告の項目立てなどはIIRCの暫定基準を参考にしつつ、非財務情報について独自の見せ方を追求している。例えば事業継続計画(BCP)に触れた特集では、東日本大震災やタイ洪水に際して取り組んだサプライチェーンの復旧活動の事例を具体的に紹介。有事の際における対応などを統合報告で前もって開示することにより、サプライチェーンの強固さ、BCPの信頼性などを理解してもらう狙いがある。
同社はIIRCのパイロットプログラムには参加していない。「自社の理念や業態に即した報告を行うため、今後も独自の方向性を重視していきたい」考えだ。
※持続的成長の方法論説明※
近年、企業活動に不可欠な天然資源や鉱物資源などの毀損・減少に対する懸念が世界的に高まりつつある。統合報告書は社会の一員である企業が、こうした事業リソースを保全するためのESG(環境、社会、企業統治)活動などにどう取り組み、いかに持続的成長を確保していくのか、その方法論や戦略を投資家および社会に説明するものといえる。
現状、日本のESG投資は海外に比べ極めて小規模だが、国内でもアナリストを事業担当とCSR担当で別々に配置する証券会社が増えるなど投資家の目は徐々に変わりつつある。海外で一層の事業拡大を図るうえでも、統合報告の重要性は高まりそうだ。
{字句説明}
IIRC:統合報告の国際基準をつくるため2010年に発足した国際団体。証券監督者国際機構(IOSCO)、国際会計基準審議会(IASB)、国連、民間企業、投資家、NGO、会計事務所などの代表者で構成される。事務局はロンドン。
(了)