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2013年03月26日 前へ 前へ次へ 次へ

高止まりする模倣被害対策を急げ

 模倣品や海賊版の流通が後を絶たず、日本企業の模倣被害は高止まりしている。とくに被害を受けた国・地域として中国が関係した比率は3分の2近くを占め、その手口はより巧妙になっているようだ。中国政府も知的財産保護に向けた取り締まりを強化しているようだが、目立った効果には程遠いのが実態だ。日本政府は国内関係部署や外国政府との連携のほか、企業支援を強化して模倣被害を減らす取り組みが急がれる。
 特許庁はこのほど、2012年度模倣被害調査報告書を公表した。96年度以降、毎年実施しているものだが、今回は特許、実用新案、意匠および商標の出願合計数で上位8071社を対象に実施、4324社から回答を得た。大手製造企業の比率が高く、著作権や営業秘密などに関する知財侵害は少なくなりがちだが、日本企業の模倣被害が一向に改善されていない実態が浮かび上がっている。
 回答企業の中で11年度に被害を受けた企業は1011社、23・4%となった。この比率は大きな変化はないが、対前年度比でわずかに上昇した。大企業のみならず中小企業も被害を受け、商品別には雑貨が最も多い。一般産業機械、電子・電気機器、食品なども減少していない。知財の権利別では商標、意匠、特許・実用新案の順で、定着している。
 日本企業は中国で圧倒的に被害を受けており、回答企業の64%に達する。ただ10年度の68%に比較すると減少しており、中国政府の知財保護に向けた取り締まりの成果は一定にあったようだが、効果は限定的である。このほか、台湾や韓国で被害を受けている企業は減少しているものの20%台を維持し、ASEAN6カ国もほぼ20%とアジア全体に広がっている。
 模倣被害対策を講じている企業は約半分で、1社平均の支出規模は680万円と増加傾向にある。対策としては、国内外の知的財産権取得、模倣品の製造業者や販売業者への警告、製造業者の調査などが多い。日本国内に対しては大半の企業が対策を進めているが、外国では被害が深刻な中国でも50%に満たないのが実情のようだ。
 模倣被害による売り上げ減少やブランド価値への悪影響などの経済的損失にとどまらず、偽造の医薬品、食品、化粧品などは健康被害を引き起こす。またインターネットによる模倣品被害を受けた企業が2年連続で50%を突破するなど巧妙、複雑化する傾向もある。政府内の横の連携をこれまで以上に強化するとともに、中国政府に取り締まり強化を働きかける必要がある。中国は"偽物天国"から卒業しなくてはならない。


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