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新たな人材育成で技術革新に挑戦へ
近い将来に予想される食料不足やエネルギー危機に備え、イノーベーション人材を育てる取り組みが東京農工大学で4月から始まる。食料生産をキーワードとするが、農学の深耕にとどまらず、新素材やエレクトロニクスなど多彩な科学領域の知見、流通や社会システム整備など幅広い見識を持った指導力のある研究者を大学を挙げて育成する。地球規模の食料、エネルギー・環境問題を解決できる構想力と実践力を備え、社会に通用する人材を送り出す。
この取り組みは、"グリーン・クリーン食料オープンイノベーション"を実現する大学院を創設、5年間一貫の博士課程専攻の実践科学教育プログラムを実施する。専門知識の教育に偏りがちな日本の大学の弊害を解消し、多くの理工系大学教育に刺激を与えるモデルとして、先導的役割を担ってほしい。
100年以上前に完成したハーバー・ボッシュ法は、空気中の窒素を固定化、水素と反応させてアンモニアを合成した。量産技術を確立、肥料の大量生産を実現した。化学技術が世界の農業生産を増やし、人類に貢献した代表的成果である。しかし、世界人口は2050年に92億人に達すると予想され、再び食料供給が深刻化している。そこで別のアプローチで人類の直面する課題に挑戦し、解決できる人材育成と拠点整備を迫られている。
プログラムは文科省、日本学術振興会などの支援を受け、欧米研究機関へ留学や企業インターンシップなどが可能となる。学生は5-10年先のあるべき姿を見据え、自主性に基づいて博士課程をどのように過ごすかを選択する。研究室に閉じこもらず、幅広い経験や交流によって視野の広い、スケールの大きい研究者を育てる。
もちろんステップごとに試験など厳しい評価があり、一定レベルの学生の質を保証する責任を大学が負うことになる。社会ニーズに応じられる大学の実現は、産業界や公的機関なども「育てる」というしっかりした気概と支援が求められる。
海外で活躍する人材の中には欧米の仕組みに浸かり、日本人のアイデンティティーを忘れがちな人も多い。日本人であることを見つめ、国際機関で能力を発揮でき、日本発の革新技術を開発する人材輩出に力を注ぐことは急務である。
食料問題解決は各国政府、国際機関、産業界の協力が不可欠である。革新技術を生み出せる研究者のみならず、多様な意見を集約するコーディネート役など多彩な人材が必要だ。国際社会で活躍できるコミュニケーション能力に長けた人材養成の継続的支援を期待したい。