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連載下 試練のケミカルアイランド シンガポール・ジュロン島
深刻化する人手不足
転職率高く争奪戦の様相
1月末、シンガポール政府は初の人口白書を公表した。2030年に現在の人口520万人を最大690万人まで増やす内容で、とくに医療従事者、建設や飲食など単純労働者、高度な技術を身につけた熟練労働者は外国人の受け入れを続けるとした。しかし、2月中旬には数千人規模の政府批判集会が開催されるなど異例の事態が続く。国民の不満は不動産価格が高騰し、街中が渋滞し、職場で競争が激しくなっているのは外国人が増えたからだという考えに基づく。
※外国人雇用で規制※
この30年間で名目GDPを13倍にまで拡大させた都市国家として最高のモデルと称されるシンガポール。急速な経済発展に貢献した外国人は4人に1人の割合まで増加している。失業率が過去最低水準の1%台まで低下し人手不足が顕在化しているが、政府は国民の不満解消のため外国人の雇用規制を強化し始めた。日系企業も例外ではない。ある化学大手では「ミャンマー人とインドネシア人のベテラン2人の就労許可が下りなかった」というケースも出始めている。
世界大学ランキングで年々順位を上げ、注目を集めるシンガポール国立大学(NUS)と南洋工科大学(NTU)。化学工学を学ぶ学生数が減少する日本に対し、シンガポールでは人気の専攻の1つで、毎年多くの学生を輩出する。これら大学で開催される就職フェアに日系企業も出展し始め、化学では日本触媒、住友化学、三井化学、昭和電工などがブランド向上や現地採用に本腰を入れ始めている。
しかし、シンガポール国内での就職を望む大半のシンガポール人学生に対し、中国やインドなど外国人学生の方が国の壁を越えて働きたいと希望する学生の割合が大きい。グローバル人材の柔軟性という点では外国人学生に軍配が上がる。
※昨年20人以上退職※
化学産業が集積するジュロン島。人手不足の波はここにも押し寄せ深刻化しつつある。新規案件の建設ラッシュが続くなか、各社は新工場の運転要員など人材確保に躍起となっており、争奪戦の様相を呈している。
「昨年だけで20人以上が退職した」。フェノールなどを生産する三井化学の工場には日本人を除き160人ほどが働く。もともと転職の習慣が根付くシンガポールだが、10%を大きく上回る転職率は異例の事態だ。三井化学だけでなくジュロン島で操業する化学企業は軒並み10%を超える転職率に頭を悩ませる。その一方で2015年以降はプロジェクトがほとんどなく、実施を延期する企業も出始めている。
現在、シンガポールでは経済開発庁(EDB)を中心にジュロン島の次期成長戦略「ジュロン・バージョン2・0」の青写真が描かれつつある。用役コストと人材不足の課題を解消し、絵に描いた餅で終わらせない国を挙げた努力が求められている。
(了)
【写真説明】NUSなど現地大学の就職フェアに出展する日系企業が増えている