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2013年02月19日 前へ 前へ次へ 次へ

社会資本のメンテナンス対策を急げ

 道路や橋梁など社会資本の老朽化問題が、喫緊の課題として浮上している。高度経済成長期に整備された社会資本ストックが急速に老朽化が進行しており、その維持・更新コストが膨らむことが確実視される一方で、今後予想される産業構造の変化や少子・高齢化社会に見合った「次代の社会資本整備」のデザインづくりは立ち遅れているのが現状だ。社会資本の更新と新規投資の中期的な指針を早急に策定する必要がある。
 昨年末に発生した中央自動車道笹子トンネル事故を機に、老朽インフラ問題に改めて関心が高まっている。年初、閣議決定した緊急経済対策のなかで、社会インフラの速やかな総点検および緊急的な補修など必要な対策の実施、そして社会資本の「計画的かつ戦略的な維持管理・更新を推進する」ことが盛り込まれた。
 わが国の社会資本ストックは建設後30-50年経過、今後、老朽化が急速に進む。国交省は、建設後年以上経過したストックの割合を調べた。橋長15メートル以上の道路橋梁は全国に15万5000あり、2010年時点で50年以上経過した比率は8%だが10年後には26%、20年後には53%に急増する。
 河川管理施設である排水機場・水門(約1万施設)は10年時点の23%から10年後37%、20年後60%に、下水道管渠は同じく2%から、7%、19%に、港湾岸壁は同じく5%から、25%、53%という見通しだ。
 国交省は道路や港湾、下水道、治水など所管の社会資本について過去の投資実績をもとに今後の維持管理・更新費を推計したが、37年には維持管理・更新費が投資総額を上回る。11年から60年までの50年間に必要な更新費(約190兆円)のうち、約16%の更新が不可能になるとも試算している。
 こうしたなかで、国交省の社会資本整備審議会は先月、社会資本メンテナンスについての緊急提言をまとめた。ここでは、今年を「メンテナンス政策元年」と位置付け、インフラの健全性診断のための総点検を実施、推進すべきと強調している。総点検の結果、安全性など緊急的な対策が必要な施設については、補修などを速やかに実施する体制を組む。
 政府は公共事業の予算増を含めた体制整備に動いているが、社会ストックの維持管理・更新はその重要な柱の一つとすべきだろう。この際、銘記すべきことは社会構造の変化が進むなかで、社会資本に対する時代の要請が変わっていくことである。「安全・安心」社会を支えるのは、良質で国民のニーズを反映した社会インフラであることは論を俟たない。


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