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2013年01月24日 前へ 前へ次へ 次へ

官民連携で製造業の競争力回復を

 日本の製造業の競争力低下に歯止めがかからない。昨年末にデロイトトウシュトーマツ(DTTL)と米国競争力審議会の共同調査による「2013年世界製造業競争力指数」によると、日本は3年前の6位から10位に大きく下げた。5年後予測では12位と、日本の製造業に対する世界の評価は低い。ものづくり競争力の立て直しは第2次安倍内閣の大きな課題だが、産業界の自助努力と両輪で復活を目指してほしい。
 世界製造業競争力調査は、幅広い業種のグローバル製造企業のCEO、上級役員など552人を対象に実施した。評価は(1)人材主導のイノベーション(2)原材料と労働力のコストと安定供給(3)エネルギーコストと政策(4)経済・貿易・財政・税制システム(5)物理的インフラ‐など10要因で行った。
 1位になったのは中国、以下ドイツ、米国、インドが続いた。アジアでは韓国、台湾、シンガポールが日本より上位にランクされた。5年後にはベトナム、インドネシアにも抜かれ、12位まで後退するという厳しい予測である。
 さらに製造業が競争力を維持している日独米の先進3カ国、中国、インド、ブラジルの新興3カ国の6カ国を対象に強さと弱さも分析した。日本は飛び抜けて優れている要因がない。「物理的インフラ」と「医療保障制度」が2位だが、「原材料と労働力のコストと安定供給」、「エネルギーコストと政策」は最下位の6位。エネルギーを含めた高コスト構造だけでなく、市場の魅力、イノベーションを担う人材、製造やイノベーションへの政策投資、法律や規制なども先進3カ国で最低だ。
 これでは日本への投資を呼びかけても、海外企業は前向きな反応を示すことは期待できない。安部内閣は大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を3本の矢とする経済政策を掲げてスタートしたが、この現実を政府は直視すべきだ。
 同時に産業界のイノベーション創出に向けた戦略の立て直しも急務である。既存技術の延長や高機能化に過度にこだわり、ガラパゴス化した電機産業の失敗を踏まえなくてはならない。化学産業は高機能部材という新しい事業領域を開拓して世界をリードしたが、内外環境は大きくに変化している。この変化に対応した新しいビジネスモデルの構築が迫られている。
 23日から始まった世界経済フォーラム(ダボス会議)では、今回を報告書に基づいて「製造業の未来」のセッションも企画されている。日本の変革に向けた姿勢を世界にアピールする場にしてもらいたい。


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