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エネ・環境にも広がるミドリムシ利用
ミドリムシ(学名:ユーグレナ)は微細藻の一種で、鞭毛によって水中を泳ぎまわる一方、葉緑体を持ち光合成もできるため、分類学上は動物にも植物にも属するユニークな生物である。ミドリムシを培養して食品やサプリメント、化粧品などの素材に商品化されているが、さらなる挑戦として始まっているのがバイオジェット燃料、バイオプラスチックなどエネルギー・環境関連分野の技術開発だ。経済性を含めてハードルの高い技術開発だが、今後の開発成果に注目したい。
東京大学発のバイオベンチャーであるユーグレナ社は、2005年12月に世界で初めてミドリムシの屋外大量培養に成功するとともに、洗浄、濃縮、乾燥によって得られた抹茶状の栄養分を原料に機能性食品事業に展開している。さらにミドリムシ由来のバイオジェット燃料製造に向けた研究開発にも着手するなど事業範囲を広げ、昨年末には東証マザーズに上場して話題を集めた。野村総合研究所は「2030年日本価値創造プロジェクト」の有力事業に選定している。
自動車など輸送機械から排出されるCO2対策が迫られ、電気や水素自動車の開発が進んでいる。しかし航空機は出力の問題などから電気化は難しいため、陸生植物に比べてCO2吸収効率が高く、食料として競合しないミドリムシが注目されている。しかも含有する油脂分がジェット燃料に適した炭素構造を有しており、JX日鉱日石エネルギー、日立プラントテクノロジー、ユーグレナ社の共同研究が始まっている。
最近話題になったのは、産業技術総合研究所、NEC、宮崎大学などが発表したバイオプラスチックの共同開発。ミドリムシが作り出す多糖類(パラミロン)を主原料に、同じくミドリムシ由来の油脂成分(ワックスエステル)から得られる長鎖脂肪酸またはカシューナッツ殻由来の油脂成分で柔軟性を持つ長い鎖状部位と剛直な六角形状部位を併せもつカルノールを付加して合成する。熱可塑性や耐熱性は既存のバイオプラや石油由来のABS樹脂と同等もしくは上回ることを確認している。
現状は、バイオ由来製品を燃料や工業材料に採用するのは企業の社会貢献やイメージアップの側面が強い。CO2削減効果に加えて、市場で評価されるためには物性や機能を高め、エネルギー収支などの改善を通じた経済性も問われる。ジェット燃料の実用化は5年以上先、バイオプラでは衝撃強度などの改善が必要だが、日本でも原料コストのハンディが少ないバイオ素材であり、長期的視点で技術開発を進めてもらいたい。