ニュースヘッドライン記事詳細

2013年01月22日 前へ 前へ次へ 次へ

【2013挑戦】東レ・日覺昭廣社長

医療分野を伸ばす仕掛けを

 ▼...2012年を振り返って
 「当初は夏以降に上向いてくるかとみていたが、尖閣諸島の問題も重なり下落傾向。中期経営計画『APーG2013』の中間年でもあり、非常に苦しい1年となった。一方で当社がグリーンイノベーション(GR)プロジェクトで掲げている新エネルギー、環境などへの方向性は強まっている。また、アジア・新興国拡大(AE)プロジェクトはインドネシアでのポリプロピレン(PP)スパンボンドの増設、中国・四川省成都の樹脂コンパウンド拠点設立など成果がこれから着実に出てくる。コスト削減(TC―?)プロジェクトは比例費、固定費ともに目標をほぼ達成できる見通しが立っている。コスト削減は永遠の課題だ」

 ▼...中国リスクをどうみますか。
 「世界のなかで相対的な位置づけは変わってくるだろうが、東レとしては中国の位置づけは変わらない。中国は今後も年7ー8%で成長が期待できる。現地に進出する日系メーカーは減るかもしれないが、怯んではいられない」

 ▼...樹脂事業は。
 「主な用途である自動車用途は、アジアを中心に需要がますます伸びていくだろう。既存拠点に加え昨年7月に新設した中国・成都のコンパウンド拠点『東麗塑料(成都)有限公司』を活用し供給していく」

 ▼...フィルムは価格競争が激化しています。
 「ポリエステルフィルムの主力用途である太陽電池バックシート、IT関連は確実に量は伸びていく。売り先が中国にシフトしプレーヤーが変わりつつあるなかで、量とシェアは伸ばしていくことができるが、徹底的なコストダウンが不可欠だ。日本は高付加価値品やタッチパネル向けなどに特化する」

 ▼...炭素繊維・複合材事業は。
 「80%のシェアを持つシェールガスなどの高圧タンク向けがフル稼働となっている。ここはとくにアメリカでさらに伸ばしていきたい。まもなく韓国で稼働する年産2200トンの設備で汎用品を生産し、不足が予想される高級品や高圧タンクの需要増に対応する。また革新的プロセスによって、さらなるコストダウンを狙う」

 ▼...今後の重点課題は。
 「13年は最高益を達成し、次の3カ年に向けた基礎固めの1年になる。中計で掲げる営業利益1500億円は厳しいかもしれないが、最低でも1200億円は達成できる。韓国の炭素繊維、インドネシアのPPスパンボンド、タイのエアバッグ用基布のナイロン66繊維の利益寄与が150億円ほどでてくるだろう。また、次期中計の柱となる医療関連をさらに伸ばしていくための仕掛けを作る。医療関連はさまざまな素材の可能性がある分野だけに、『ライフイノベーション』分野として定め、医療機器のフレームやフィルムを使ったセンサーなどを供給していきたい」
(佐々木綾奈)

《記者から一言》
 厳しい事業環境のなかで研究・技術開発に継続的に投資している。日覺社長も「東レは現場力が強い。世の中のトレンドを見極め、必ず100年後も生き残っていく」と語気を強める。新製品開発はもちろん、フィルム事業を筆頭にグローバルで価格競争の激化が進むなか、革新的な生産性向上、コスト低減がより一層求められる。こうした施策に加え中計の最終年度となる来期は徹底的な「売り抜き」で目標を達成できるか注目が集まる。
(了)


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.