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2013年01月21日 前へ 前へ次へ 次へ

増加する技術研究組合の課題と期待

 日本経済の再生は科学技術抜きにあり得ないが、かつてのような先進国との競争だけの時代は終わって久しい。今や韓国に代表される新興国企業の後塵を拝するケースが増え、技術開発のスピードアップ、効率的事業化がグローバル競争時代のカギを握っている。
 欧米をキャッチアップする時代に有効な役割を果たしたのが、当時の通産省が主導した大型工業技術研究開発制度などのプロジェクトだ。1961年に鉱工業技術研究組合法を制定したが、普及したのは70年代になってからである。この代表的な成功例が年に始まった超LSI技術研究組合で、日本の半導体産業の飛躍に貢献した。
 80年代になってバイオ、新素材、ファインセラミックスなどが脚光を浴び、技術研究組合の設立は急増した。このなかで90年に設立された太陽光発電技術研究組合は、太陽電池産業の基盤構築に寄与したが、目立った成果もなく解散した組合も多い。当時はキャッチアップ型研究から脱し、世界のフロントランナーとしての技術開発が叫ばれたものの必ずしも成功しなかった。企業の研究開発体制も整備されたことで組合方式の共同開発は敬遠され、世紀になると新設組合数は激減した。
 そこで、経済産業省は09年に鉱工業技術研究組合法の抜本改正を踏み切った。研究開発の成果をスピーディに事業化につなげるために設立組合員数の緩和、設置手続きの簡素化、株式会社への速やかな移行も可能になった。これによって第3次技術研究組合ブームと呼べるような活況を呈し、昨年末の組合数は60を超えるまでに増加した。化学企業は電子、バイオ、次世代プロセス技術に関連した組合を設立、共同研究を進めている。
 リーマン・ショックを契機にグローバル競争が一段と激化、この課程で鮮明になったのが東アジア企業の台頭だ。電子機器を中心に高機能部材の重要な顧客になるケースも目立ち、現地生産も迫られた。部材においても東アジア企業は有力な競合相手になっている。
 これに対抗して日本の素材企業が競争力優位を維持するには、「競争と協調」に基づく日本企業の連携も急がれている。協調の成功例では、化学材料の評価を目的に設立した技術研究組合は有効に機能している。
 わが国の製造企業は戦略的な知財戦略や技術・ノウハウのクローズ化を通じたグローバル展開が迫られる。組合の活性化には、海外企業や外国人研究者の参加も必要だがデリケート問題もある。株式会社への移行も課題だ。産業界との対話を深め、イノベーションに貢献できる態勢整備を期待したい。


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