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2013年01月11日 前へ 前へ次へ 次へ

【2013 挑戦】住友化学 十倉雅和社長

事業創出・世界展開 両輪に


▼...今年の環境認識は
 「個々にみれば明るい兆しもみえ始めている。地域別にも総じて昨年より悪くなることはなく、底は打ったと思う。ただ、好調だった11年前半のレベルに戻るところまではみえていない」

 ▼...次期中計の骨子は
 「10年の計で進めてきた『石化のラービグ計画』『ライフサイエンスのM&Aによる拡大』『情報電子材料をはじめとする新規事業の育成』の3大事業の集大成と刈り取りが1つ。もう1つは財務体質の改善。有利子負債を3年間で9000億円に圧縮する。ラービグのフェーズ2への投資もありタフな目標だが、何としても達成する」

 ▼...国内石化の構造改革をどう進めますか
 「経済環境は元に戻らないとの前提に立つことが必要。米シェールガスもアジア市場に少なからぬ影響を及ぼすことになろう。国内石化産業の構造改革は避けられない。定期修理は4年に1回で、当社の千葉は次が15年。その次の19年では遅い。誘導品のあり方、近隣の会社との調整など具体策を詰めていく」

 ▼...情報電子材料はどうですか
 「投資競争の時代から技術勝負の時代が来た。われわれには良い時代になった。薄型テレビ部材は生産性向上のための技術力で競争優位を保てる。需要が拡大しているタブレット、スマートフォン向けは高精細、広視野角、防水性などの高性能が要求される。いずれも世界で数社しか対応できない」

 ▼...新規事業の見通しは
 「環境・エネルギー、情報通信技術(ICT)分野ではディーゼル車用すす除去フィルター(DPF)、有機EL照明・ディスプレイ、パワー半導体用エピウエハー、CO2分離装置などを対象に、15年で売上高1500億円程度の事業創出を目指す。20年時点では有機薄膜太陽電池、有機半導体、リチウムイオン2次電池用材料などを加え、3000億〜4000億円規模に拡大する」
 「ライフサイエンスは大日本住友製薬によるセプラコア(現サノビオン)買収で米国市場を切り開いた。非定型抗精神病薬の『ラツーダ』は13年で3億ドル、中期的には7〜8億ドルを期待している。また、米国のボストン・バイオメディカル(BBI)を買収した。世界初のがんの幹細胞に効く薬を開発中で、早ければ15年に上市する。農薬関連ではポストハーベスト分野にも参入し、川下への展開を通じ事業の付加価値を高めていく」

 ▼...今年のキーワードは
 「『イノベーション』と『グローバル化』だ。総合化学の強みを生かし環境・エネルギー、ライフサイエンス、ICTの注力3分野で新規事業創出を加速する。事業を広く国内外に展開し、利益を還流させ付加価値を生み続けることが肝要で、グローバル展開の深化を緩めない。国際的な競争条件の確保など、政府の政策にも期待したい」
(佐藤豊)

●記者のから一言
 総合化学企業の王道を歩んできた住友化学。次期中計ではその強みを堅持しながらも、世界経済の構造変化に対応した抜本的な改革に挑む。社長として今年3年目を迎える十倉氏は、「いま起きている変化は生易しいものでない。肝は据わっている」と改革に強い意志を示す。とくに国内の石化再編は「自分だけが有利、では通らない。最後はトップが腹を決めて決断する」と、リーダーシップを発揮する決意だ。


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