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日本主導で微生物資源管理の構築を
微生物の管理や国境を越えたスムーズな利用のあり方をめぐり、将来展望を見通せない状況が続いている。生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された遺伝資源へのアクセスと利益配分に関わる「名古屋議定書(NP」が発効されると、利用国は海外微生物資源のアクセスへの手続きが煩雑になると懸念されている。
NP批准に向けて各国で作業が始まっているが、発効までに時間はかかるだろう。バイオ資源の基盤である微生物だけに、提供国と利用国がともに利益を共有できる資源管理の仕組みを望みたい。産業界がスムーズに研究開発に利用できるように協調して整備していくことが重要である。日本は微生物産業をリードしてきただけに、この仕組みづくりでもリードしてもらいたい
微生物の働きを生かし、新規化合物の製造や環境負荷の少ない工業用プロセスを実用化できる可能性がある。製薬、食品、化粧品素材、工業用化学品、環境資材、農業、バイオ燃料など幅広い分野で研究開発が進められている。NPは2010年10月の名古屋会議で採択され、92カ国が署名した。ところが2年経過した現在でも、批准国は10カ国に届いていない。批准には国内法整備と必要な措置が求められる。NP発効には50カ国の批准が必要となっている。
NPが発効されていない現在、海外微生物資源の探索や利用は、提供する国・地域と条件を煮詰めながら了解覚書(MOU)や共同研究契約の締結で、比較的自由な取り決めが可能だ。相手国の公的研究機関など窓口に、民間企業が利用しやすい日本独自のスキームによって進めている。
しかしNP発効後は、提供国、利用国とも国の承認や生物多様性条約事務局への登録、情報提供などの手続きが発生する。時間がかかり、利用を躊躇するケースが増えることも予想される。このため、バイオリソースセンター(BRC)の担う役割はますます重要になろう。
日本では、製品評価技術基盤機構(NITE)が対策に取り組んでいる。今月、アジアや欧州のBRC関係者を招き、今後の対応をめぐり初めて国際会議を開催した。EUでは、遺伝資源へのアクセスと利益配分に対応した規則案を作成、自主指針作成も進んでいる。NPを尊守しつつ、各国の方針や進捗状況を知り、成案に向けた情報交換は、BRC間での共通ルールづくりに重要なプロセスである。アジアは微生物の宝庫である。資源管理の仕組みづくりに、すでにNP発効を想定した実用スキームを持っている日本のイニシアチブを期待したい。