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事業創出の視点でR&Dの活性化を
総務省がこのほど発表した2011年度の科学技術研究費の総額は、17兆3800億円、対前年度比1・6%増と4年ぶりに増加した。GDPに対する比率は3・67%、同じく0・11ポイント上昇した。政府の科学技術基本計画に基づく研究費の増額、重点化とともに、企業の成長戦略に向けて研究開発(R&D)重視を反映しているのだろう。課題はR&Dの成果をイノベーション創出、産業競争力強化に結び付ける政策、企業戦略が問われる。
わが国の研究費は07年度まで拡大傾向が続いたが、リーマン・ショックによって減少に転じ3年連続のマイナスに陥った。11年は4年ぶりに増加したものの、05年とほぼ同水準だ。GDP比率は08年の3・84%に比較して0・17ポイント低い。11年の研究費総額のなかで自然科学比率は92%、性格別研究費は基礎研究15%、応用研究23%、開発研究62%という内訳で、ここ数年大きな変化はない。
また、第3期科学技術基本計画の重点分野ごとの研究開発費比率は、ライフサイエンス16%、情報通信15%、環境6%、ナノテク・材料5%となり、これ以外にはエネルギー6%、宇宙開発1%など。ライフと情報通信ならびにエネルギーが対前年度比増加した。日本の直面する課題を、技術開発で解決しようとする産学官の意欲的姿勢を読み取ることができそうだ。
企業の研究費全体のなかで、製造業が10兆7800億円、比率は87・9%に達する。業種別には輸送機械18・2%、情報通信機械14・2%に続いて、医薬品が10・0%。化学も6・1%を維持している。さらにプラスチック製品、ゴム製品を加えた広義の化学工業比率は18・4%になる。また売上高に対する研究費比率は医薬品がトップで11・96%、化学は3・81%となっている。
医薬品を含めた化学工業は、R&D部門の生み出した成果を活かして事業展開、成長した産業である。この基本認識に基づいて研究費を重点的に投入してきたが、一方で多様な技術領域や事業分野があり、選択と集中が絶えず迫られる。最近では欧米企業のみならず、新興国企業もR&D部門を強化しており、効率化を図るとともに事業化を視野に入れたイノベーションの重要性が高まっている。
これまでも取り組んできた国内企業との共同開発、大学や公的研究期間への委託研究を拡充するとともに、海外のユーザー企業も含めた連携を模索する時代になっている。新たな素材や製品開発、プロセス技術開発を武器に、事業創出に挑戦する化学工業のR&D部門活性化を期待したい。