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2012年12月19日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載(下)】商機広がる非在来型資源 動き出す日本エンジ各社


「燃える氷」将来性に期待
課題克服へ技術力不可欠

※LNG輸入11年分※
 これまで石油の代替エネルギーとしての位置づけだった天然ガスは、いまやエネルギー源の3分の1を占めている。世界的な需要拡大によりガス価格は高止まり。アジアでは輸送ルートや用途の多様化・多角化により競争力のある価格設定が喫緊の課題となっている。日本では東日本大震災以降、エネルギー安全保障の重要性が高まっており、非在来型資源の活用に期待がかかる。
 「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートは、メタン分子を水分子が取り囲み低温高圧の環境下で固体化した包摂水和物。約1226兆立方メートルのメタン原始資源が世界中の永久凍土地帯や深海の海底面下に分布しているとみられる。日本では約11年分の液化天然ガス(LNG)輸入量に相当する1・1兆立方メートルが東部南海トラフ海域に眠るとされている。

※来年から試験生産※
 天然ガスを輸入に頼る日本にとっては、「近海にエネルギーがあることが重要」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構=JOGMEC)。今年7月、JOGMECと産業技術総合研究所のコンソーシアムは世界で初めて海底面下のメタンハイドレート層の採取に成功した。天然ガス生産に向けた一連の実証試験で、企業では石油資源開発、日本海洋掘削、日本オイルエンジニアリング、鹿島が協力。昨年2月に地球深部探査船「ちきゅう」と海中ロボットで愛知県渥美半島沖の海底地盤を調査した後、今年2月に事前掘削。今回のサンプル分析をもとに、来年2月から天然ガスの生産試験に着手する。
 成功すれば2014年の海洋産出試験で商業生産に向けた長期試験を実施する計画。商業生産技術の確立は18年が目標。エンジニアリング、プラントメーカーは「エネルギー資源としては興味を持っている」と声を揃える。現状では生産コストや海底掘削による地層への影響などの課題は山積みだが、日本産の次世代天然ガス資源を実用化に結びつけるためにはエンジメーカーなどの技術力が不可欠。課題を克服するなかでビジネスチャンスが広がる可能性もある。

※省エネ型のNGH※
 一方、メタンハイドレートはマイナス20度Cで分解速度が遅くなることから、液化に比べて穏やかな条件で取り扱うことができる。三井造船はこの特性に着目。メタンを主成分とした天然ガスを人工的に包摂させた天然ガスハイドレート(NGH)の連続生産設備を開発した。
 NGHの単位体積当たりの天然ガス包摂量は液化方式の約4分の1だが、保持温度は140度も高い。生産・輸送・貯蔵にかかるエネルギーが少なく、設備費用を大幅に低減できる。従来は採算面で開発が難しかった中小規模ガス田の利用に寄与する。
 同社は三井物産と共同で設立したNGHジャパンでNGHの製造、輸送、再ガス化、販売を含む事業にかかわる技術・事業開発を進めている。07年にはNGHの陸上輸送試験に参加し、中国電力の柳井発電所内にNGH日産5トンの製造・出荷実証設備を建設。専用ローリー、都市ガスなどでの利用設備を含めた実証を行った。「20年から30年にはアジアを中心に年産1000万トンのNGH供給を目指す」として、13年度の商業化移行を目標に日産500トン規模のセミコマーシャルプロジェクトに取り組んでいる。
(了)
【写真説明】
7月には世界で初めて海底面下からメタンハイドレート層の採取に成功した(出典・JOGMEC)


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